古くはバブル経済の破綻や、最近ではアメリカのリーマンショックに伴う長い構造不況により、住宅ローンを返済できなくなってしまう方が増えています。ほとんどの方は、住宅の購入にあたって住宅ローンを借り入れると思いますが、住宅ローンを組んだ時と収入の状況が変わってしまうと、途端に返済に困ってしまうことになります。副業やアルバイトで何とかなるうちはいいのですが、生活を切り詰めても住宅ローンの返済ができなくなると、もうローン破綻という事になってしまいます。住宅ローンが返済できなくなってしまうと、借り入れている金融機関から、住宅ローン期限の利益喪失の通知が来ます。
これは、住宅ローン契約に基づく分割返済が守られなかったので、一括返済を求めるものです。当初の契約書に記載のある契約条項に従って、機械的に手続されるものです。住宅ローンの残額を全て返済しなければならない訳ですから、借り入れているお金は、一括返済しなければならなくなります。月々のローン支払いに窮している訳ですから、当然一括返済など出来るはずがありません。
そこで、住宅ローンの目的となっている住宅を手放して返済に充てるということになります。裁判所が間に入って、競売と呼ばれる売却手続が取られることがあります。競売とは、住宅ローン破綻などで債権確保の必要が生じた物件を、入札によって売り払うものです。この時の売却資金が、金融機関などの債権者への弁済に充てられます。通常の不動産取引と違って、競売ではかなり安い価格で取引されることが多いです。これは、債務者がまだ居住していたり、家財道具が残っていたりと、通常の不動産取引にはないリスクがあるため、その分プレミアムとして低い価格が設定されるのです。
買う側にとっては、なかなか良い話ですが、売る側にとっては高く売れない訳ですから、困った話になります。そこで、競売によらない方法として、任意売却という手段があります。任意売却とは、競売手続に移行する前に、自分で買い手を見つけて、通常の不動産取引と同じように売却するものです。通常の不動産取引と同じですから、売却価格も通常に近いものになります。
これは、売る側にとっては、債務を返済する原資が増える事になりますから、ありがたい話です。手続としては、借り入れをしている金融機関と相談して、競売の前に任意売却をする事について相談し、了解を得ておきます。金融機関側としても、より多くの債権確保につながる訳ですから、悪い話ではありません。最終的には競売手続が残されている訳ですから、大抵は了承してもらえます。
了承が得られたら、自分で手続をしても良いのですが、弁護士に相談するのがベストです。弁護士の中には、任意売却手続を専門としている、不動産取引に関する知識の豊富な方がいますので、これらの弁護士または弁護事務所を訪ねるのがいいでしょう。弁護士に相談すれば、債務の整理をしてくれますし、任意売却の手続も代行してもらえます。また、任意売却にあたっての適切なアドバイスももらえるでしょう。
当然、相談のための弁護士費用はかかりますが、結果として不動産が高く売れれば、その程度の弁護士費用は回収出来る場合があるので、結果としては最良という事になります。金融機関としても、弁護士に依頼すると言った方が、手続もスムーズに進む訳ですから、任意売却への同意が得やすくなると考えられます。
最近であれば、インターネットのホームページなどで弁護士事務所の案内が出ていますから、検索して適切なところを探してみるとよいでしょう。住宅ローン破綻は、誰の身にも起こりうる事ですから、対応方法の知識を持っていて損はありません。