土地や建物など、いわゆる不動産は、それが不要となった場合には直接、或いは弁護士など法律の専門家に委任する形で売却することができます。
ただし、あくまでもそれらの不動産を実質的に所有している所有者が自ら売却手続を行う必要があります。では、不動産の所有者が行方不明となってしまった場合など、本人が直接、売却に関連した手続や交渉を行う事ができない場合にはどのように行動すれば良いのでしょう。
まず、こういった事例で最も重要となってくるのが、その不動産の所有者が売却を本当に希望しているかどうかの意思表示の有無についてです。
上述したとおり、不動産を売却して手放す為には、必ず所有者本人の意思が必要となります。原則として、この意思がしっかりと確認できない限り、法律上、不動産などの資産を勝手に第三者が売却することは認められていません。
ただし、所有者が行方不明となり、その後も音信不通の状態が続いてしまっている場合には、所有者が所有する不動産を第三者が売却する事ができる制度が設けられています。それが、不在者財産管理人を利用する任意売却です。
裁判所の決定を通じて財産をあらかじめ管理する財産管理人の選定が行われ、管理人の元による管理が一定期間にわたり行われます。この間、第三者による不動産の売却や名義変更などは一切行うことができません。