Column
コラム

リースバックの審査|審査基準や審査前の確認ポイント等を解説

リースバックの審査|審査基準や審査前の確認ポイント等を解説

大切な住まいを売却した後も、引き続き賃貸借契約によって居住を続けることができるリースバッグですが、実際に利用する際にはどのような審査が行われるのでしょうか。
この記事では、リースバッグの審査について、その基準や審査前の確認ポイントを中心に詳しく解説します。

リースバックの審査とは

リースバックは、資金調達や任意売却時などに幅広く活用されている、不動産の売却方法の手法です。自宅を売却し、売買代金を得たあとも、物件の買主との間で賃貸借契約を結び、家賃を支払いながら自宅に住み続けることができます。

では、リースバックの利用時にはどのような審査が行われるのでしょうか。
リースバックの審査は、住宅ローンの審査などと比較すると厳しいものではありません。事業資金の融資を受けたくても金融機関の審査に通らない方、住宅ローンの残債の返済に行き詰まり金融機関から督促状が届いている方でも利用できる可能性があります。

また、審査に必要な書類として、本人確認書類(免許証など)、収入証明(確定申告書・源泉徴収票・給与明細など)、登記済権利書または登記識別情報通知書、印鑑証明書、課税証明書などが必要になります。必要な書類を確認して用意しましょう。

リースバックの審査基準

審査が厳しくないと言ってもリースバックにも一定の審査基準が設けられています。基準をクリアできない場合は利用できないおそれがあるため、注意が必要です。
どのような基準が設けられているのか詳しく解説します。

1 物件に価値がある

リースバックをする以上は、その物件に「価値がある」必要があります。不動産会社などの物件の買主は、購入する以上、売却時の利益や家賃収入を得たいと考えており、資産としての価値が十分かどうかを審査します。立地が悪い場所であったり、事故物件(事件や事故があったような物件)であったりする場合は価値が低くなりやすく、リースバッグが難しい場合があります。

2 家賃を支払える経済力がある

リースバックは、一般的な不動産売却とは異なり、売却後は賃貸借契約を結んで、家賃を支払う必要があります。そのため、「家賃の支払い能力」の有無も審査対象です。任意売却時であっても、給与所得や年金などの定期収入があり、家賃を支払う能力があれば、審査は通りやすいでしょう。

3 共有名義物件の場合、名義人全員の同意がある

リースバックで物件を売却する時、共有名義人がいる場合には全員の同意が必要です。たとえば、自宅を夫と妻で共有名義としている場合、夫婦双方の同意を得る必要があります。疎遠になっている間柄の方が共有名義人であっても同意を得る必要があり、難しい場合は審査が困難になってしまいます。

4 リースバック業者の対応エリア内である

リースバックを得意とする会社に依頼したいところですが、会社によっては、物件の買取・売買にエリアの制限を設けていることがあります。エリア外の場合には、そもそも買取・売買の対象外として審査ができない場合があるため、注意が必要です。

5 市街化調整区域の物件か

リースバックでは審査時に「市街化調整区域内」に位置するか否かという視点でも審査が行われています。市街化調整区域は、市街化についてさまざまな制限が設けられているエリアであり、リースバックが難しい地域です。対象となる物件が区域内なら、審査に通らない可能性があります。

6 借地権付きの物件か

リースバックの審査では「借地権付き物件」かどうかについても審査されています。借地権が付いているということは、土地と建物の所有者が別ということです。そのため、土地の所有者の同意がなければリースバックを行うことはできないため、魅力的な物件とは言えなくなるのです。

もしも同意が得られたとしても、土地の所有者に地代を支払うなどの「費用・事務面」のコストは大きく、借地権付き物件は一般的な物件よりも安い価格で購入されることが多いでしょう。

売却価格が住宅ローンの残債を下回る場合のリースバック

リースバックは事業資金や老後の資金の獲得のために利用されることもありますが、住宅ローンの返済に困り、住まいを売却したいと検討する方も利用できる方法です。一般的な任意売却では、住まいを売却したら引っ越しをする必要がありますが、リースバックなら引き続き自宅に住まうことができます。

リースバックで得た売却代金は、住宅ローンの返済に充当できるため安心です。ではリースバックでの売却価格が住宅ローンの残債を下回る場合、リースバックは難しいのでしょうか。

オーバーローンでもリースバックは可能

リースバックを行い、売却代金を住宅ローンの残債に充当しても、残債が残る状態を「オーバーローン」と呼びます。たとえオーバーローンが見込まれていても、リースバック自体は可能です。残債に関してもしっかりと方針を決めることで債権者が同意する可能性は高いでしょう。

■残債は家族の協力などで充当する
オーバーローンであっても、残債について家族などが協力して充当できるのであれば、完済できます。この場合、金融機関や保証会社といった債権者も同意しやすいでしょう。

■残債の返済方法について弁護士に相談する
残債が残ってしまった場合、あらかじめリースバック時に弁護士に相談依頼することが大切です。債務整理の方法で残債務問題を解決できます。

リースバックの審査前に確認するポイント

これからリースバックに臨む場合、審査前にはどのような点を確認すると良いでしょうか。
4つのポイントを解説します。

ポイント1 住宅ローンの残債がいくらあるか

住宅ローンが完済できていない方は、リースバックの審査前に、現在ご自身にどの程度の住宅ローンの残債があるのか、正確に把握しましょう。残高証明書や、借入先の金融機関に問い合わせることで、簡単に把握できます。今後の生活に大きく関わる部分ですので、早めに調べましょう。

ポイント2 どのくらいの金額の家賃なら支払えるか

リースバック後は、家賃の支払いがあることを忘れてはいけません。家賃を滞納してしまったら、結局退去しなくてはいけなくなり、リースバックした意味がありません。
特にリースバック後にも残債の返済を続ける場合は、生活費なども計算し、いくらまでなら家賃を支払えるのか正確に計算しましょう。

ポイント3 買戻しを希望する場合は買戻し条件を確認する

住まいを買い戻したいと考えている場合は、賃貸借契約を交わす前に買戻しの条件を確認しておく必要があります。買戻しの時の価格は売却代金を上回ることが多いため、価格や時期などを把握し、本当に買い戻せるかどうか、慎重に検討しましょう。

ポイント4 リースバックのデメリットも把握しておく

リースバックは引っ越しをしなくても良いなどの多くのメリットがありますが、デメリットもあります。
リースバック物件の買主は、利回りを重視しており、買取価格は一般的な不動産の市場価格よりも低くなります。また、今後継続して支払っていく必要がある家賃は、周辺相場よりも高くなる可能性があり、家計に重い負担となるおそれがあります。

また、リースバックは賃貸で住み続けられるというメリットがありますが、いつまでも賃貸借契約が継続できるとは限りません。リースバックの賃貸契約には、契約期間に制限がある「定期借家契約」が採用されることが多く、期間満了となると退去や買戻しを求められる可能性があります。

リースバックにはこのようなデメリットがあるため、リースバックを利用する際にはメリット・デメリットを両方把握しておきましょう。

リースバックのメリット・デメリットはこちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
「リースバックのメリット・デメリットを解説|後悔しないためのポイント等も解説」

リースバックの審査に落ちてしまった場合

たとえ1社のリースバック審査に落ちても、リースバックを諦める必要はありません。別の会社なら、リースバックの審査が通る可能性があります。

リースバック会社によって、物件の売買のしやすさなどの判断基準は異なります。また、家賃保証会社が変われば、審査基準も異なるため、審査に通る可能性があるのです。
ただし、任意売却でリースバックを急ぐ場合、競売に発展することを避けるためにも早期に売却先を見つけることが重要です。

まとめ

リースバックの審査には、物件の価値や家賃の支払い能力などの審査項目があります。リースバックの審査前に確認した方が良いポイントも解説しましたので、ぜひ参考にしてください。

リースバックはメリットも大きいですが、特に任意売却時には債権者との交渉を要することも多く、弁護士にご相談いただくことがおすすめです。まずはお気軽に、解決実績豊富な弁護士法人リーガル東京にご相談ください。

 

監修者


氏名(資格)
小林 幸与(税理士・弁護士)

-コメント-
弁護士法人リーガル東京は弁護士・税理士などの専門家集団です。当法律事務所に相談依頼するだけで、購入先紹介・売買契約締結交渉・残債務整理・登記手続・税務申告のワンストップサービスを比較的低額の料金でご提供致します。

この記事を見ている人はこんな記事も見ています

       © 2023 リーガル東京グループ.