バブル経済の崩壊から20年程度経過し、その間にはアメリカのITバブルの崩壊や、リーマンショックに伴う構造不況などにより、失われた20年と呼ばれる長い不景気が続いています。特に、住宅ローンを組んで住宅を買われた方の中には、ローンの返済ができなくなってしまい、住宅ローン破綻という最悪の事態になってしまった方もいらっしゃるでしょう。
住宅ローンを組んだ時と比べて、その後のボーナスや給与が下がってしまうと、月々のローン支払いが難しくなってしまうのです。アルバイトなどで何とかしのげるうちはいいですが、それでも返済できなくなってしまうと、住宅ローン破綻という事態が避けられなくなってしまいます。住宅ローンが返済できなくなると、一般的には金融機関から住宅ローン期限の利益喪失の通知が来ます。
これは、住宅ローンの月々またはボーナスによる返済が滞ったため、住宅ローンの一括返済を求めるようになるのです。大抵の住宅ローン契約書には、この点を定めた条項が入っていて、数ヶ月に渡って月々の支払いができなくなると、住宅ローン金額を直ちに支払うように求められます。これはつまり、その時に残っている未返済分のローンを一括で返済しなければならないという事になります。
月々の返済ができない状態ですから、ほとんどの方は一括返済などできる訳がありません。そこで、このような場合には、ローンの目的となっている住宅を売却して残債を返済しなければならなくなります。この場合、裁判所が間に入って、債権回収のために住宅を売却する手続に入ることがあります。これを競売と呼んでいます。競売にかけられると、公開の入札によって住宅購入者が決められますが、競売物件には、まだ居住者が残っていたり、家財道具がそのまま残されていたり、内部がひどく傷んでいたりという、通常の不動産物件にはないリスクがあるため、一般の不動産取引よりもかなり安い価格で取引されています。裁判所としては、機械的に競売手続をするだけですから、少しでも高く売ろうなどと、債務者側に配慮した手続を取ってくれる訳では無いのです。そこで、少しでも高く売却して弁済に充てたい場合には、任意売却という手続方法をとることになります。任意売却とは、競売になる前に通常の不動産取引と同じように買い手を見つけて、売却するというものです。
競売と違って、通常の不動産取引と同じ程度の価格で売却する事ができる場合が多いので、売る側としては良い話です。金融機関側から任意売却手続の了解が得られたら、任意売却手続に入る事になりますが、自分で手続する前に、一度弁護士に相談するとよいでしょう。任意売却にあたって、債務の整理や任意売却手続そのものも代行してもらえますし、適切なアドバイスももらえるでしょう。
また、任意売却中にしなければならない手続についても適切に指導してもらえます。弁護士事務所の中には、任意売却などの不動産取引を専門分野としている弁護士がいますから、出来ればこれらの専門の弁護士に依頼する方が話が早く進みます。任意売却は通常の不動産取引ですから、手続の最中には住宅をきれいにしたり、建築図書を揃えたりと、高く売るための一般的な作業が必要になります。
弁護士に頼むと、当然費用が発生しますが、その分不動産が高く売れれば、相談費用が回収出来る可能性もあります。
従って、面倒で費用的な負担もありますが、弁護士に依頼した方が、結果的には良いものになるケースが多いのです。これから任意売却をお考えの方には、弁護士への相談を強くオススメいたします。インターネットで検索すれば、弁護士事務所が見つかります。