不要となった不動産などの資産を売却する手続のことを任意売却と言います。
任意売却と言えば、あくまでも日本の国内だけで行う作業という印象が強くもたれがちですが、決してそうではありません。
例えば、海外などに居住した経験がある方であったり、個人投資や不動産ファンドなどを通じて海外に不動産などの資産を所有している方にとっても、任意売却は切っても切り離せない重要な作業の一つと言っても過言ではなく、弁護士への相談や依頼でも上位を占める要件の一つと言われています。
とはいっても、例え海外に存在する不動産であったとしても、所有者自身が売却を求めている限り、手続自体は決して複雑な物ではありません。
国内に所有する不動産の売却に必要な作業と比べると、不動産を売却する対象を見つける手間や時間が必要となってしまったり、交渉を行う上での言葉の問題などが発生してしまいますが、売却対象の選定や実際の売却交渉さえ順調に行う事ができれば、国内の不動産売却と同じような形で作業を進めることができます。
例えば、海外に所有する不動産を売却する場合、不動産が存在する国に居住している人に対して売却する方法や、日本国内の人や企業に対して売却する方法の2つが選択可能です。
日本国内には、海外の不動産を専門的に取り扱っている企業もあるので、こういった企業と交渉することによって、さも日本国内の不動産を売却するような手軽さで手放す事ができます。
また、不動産が存在する現地国の企業や個人に対して売却を行うことも可能で、こちらの場合は、現地国の不動産売買の方法に則った形での交渉や売買契約を結ぶことができます。
いずれの方法も、個人で交渉から契約まで全て行う事ができる一方、手続自体が煩雑となりやすかったり法律的な知識が求められてしまう場面もあることから、弁護士のような専門家を第三者として当てたり、代理人として委任した上で作業を行うと、より安全に売却を行うことが可能です。
ただし、海外に所有する不動産を売却する際に最も注意しておきたい点が1つあります。それが、任意売却によって得た売却益に掛かる税金の問題です。
特に気をつけておきたいのが、売却したい不動産が存在する国では無く、売却する側が国籍を持つ日本に対しても、不動産の売買によって発生した利益に掛かる税金を支払う義務があるという点です。
日本国に対して支払う必要がある税金といえば、国内で発生した利益や収益に対してだけ支払うという印象が一般的なイメージとしてあります。ですが、海外不動産の賃貸や売却によって得た所得に対しても、国内の不動産で発生した所得と同じような形で税金が課せられています。
例えば、不動産の所有や賃貸借契約によって得た所得税だけでなく、任意売却など譲渡によって発生した利益に対しても課税されます。
ですから、海外に所有する不動産が不要となったからといって、ただ単に売却してそれで終わりというわけにはいかず意売却を行った上で不動産を手放した後、発生した売却益を申告し、それに見合った課税額を国内に於いて支払う必要があります。
ただし、海外不動産の売却や譲渡に関しては控除制度も多数設定されているため、条件によっては課税額を大幅に減少させることができます。税金に関連した複雑な計算と仕組みへの理解が求められるため、こちらも弁護士など専門家への相談や委任などを行うと良いでしょう。
言語の問題や現地国の関連法の問題など、複雑な要素が絡み合う海外不動産の売却手続ですが、個人で行うこともできる他、日本国内で、こういった海外不動産の売却手続を専門的に担当する法律事務所も多数存在しているので、余計なトラブルを未然に防ぐという意味でもこういった専門家への依頼は有効な手段の一つとなります。