不動産を売却する場合、売却方法は大きく分けて「任意売却」と「競売」の2つに分類する事が出来ます。
これら2種類の不動産の売却方法は性質がまったく異なり、特に任意売却には競売には無いメリットがたくさん存在しています。
今回は不動産を売却する方法である任意売却と競売の違いについて詳しくご説明をさせていただきます。
■任意売却とは
不動産売買における「任意売却」とは、持ち家と土地などの不動産を所有している人が住宅ローンや借入金の支払いが困難な状態となった際に担保である不動産物件を不動産会社の仲介を経て、住宅ローンの債権者と不動産の所有者である債務者双方の調整を行った上で不動産市場で売却する事を指します。
任意売却の流れとしては、住宅ローンの支払いが出来なくなった土地の所有者である債務者、住宅ローンの貸し付けを行っている銀行などの金融機関の債権者、そして該当の不動産担保物件を購入する第三者で話し合いを行い、三者それぞれが合意した不動産売却価格で第三者に該当の不動産物件を売却する流れとなります。
任意売却の際には不動産物件の売却代金は住宅ローンの返済に充てられる事になり、任意売却後は住宅ローンを債務者に貸し付けていた銀行などの金融機関の抵当権は抹消する事となります。
■競売とは
不動産売買における「競売」とは、不動産物件を所有する債務者が銀行から貸し付けられている住宅ローンや借入金の返済を行う事が出来なくなってしまった場合に、貸付金の担保として提供していた持ち家やその土地などの不動産物件を最低売却価格より高い最高値で第三者に落札してもらうシステムの事を指します。
競売時の不動産物件の最低売却価格は裁判所が委嘱した不動産鑑定士が競売物件の売却価格を決定します。
不動産鑑定士が決定する競売物件の売却価格はせりのシステムである競売の特殊性を鑑みて決定される事となりますので、不動産市場で取り引きされる不動産物件の一般取り引き価格よりもかなり低い売却価格で設定される事になります。
不動産鑑定士が決定する競売物件の最低売却価格は概ね不動産市場の一般取り引き価格の3割から7割の売却価格となり、最終的な不動産物件の売却価格は不動産市場での一般的な取り引き価格の8割前後の取り引き価格となるケースが多いといわれています。
■任意売却と競売の違いについて
不動産を売却する際に任意売却で売却を行うのと競売で売却を行うのとでは売却価格を始めとしてかなりの差異が生じてくる事となります。
任意売却には競売には無いメリットが数多く存在している、という事が任意売却の特徴でもあります。
以下に任意売却と競売の比較を列記してみます。
・売却価格
任意売却の方が競売よりも高く売る事が出来ます。
市場価格の7割から8割前後の売却価格となる競売に比べて任意売却ではほぼ市場の取り引き価格に近い売却価格で不動産物件を売却する事が可能です。
・売却の際に必要な持ち出し金の有無
競売は債務者が自分で引っ越し費用などを用意するケースがありますが、任意売却には持ち出し金は必要ありません。
・残債が残る割合
競売は不動産物件を売却した後も残債が多く残る場合がありますが、任意売却では競売よりも高い価格で売却出来るケースが多いので残債が残る割合も競売に比べて低くなります。
・自宅に住み続ける事が出来るか
競売を行う場合でも自宅に住み続ける事は可能ですが、第三者が落札すれば不法占拠者として退去を命ぜられる場合もあります。
任意売却の場合は親族間で不動産売買を行ったり第三者に同意してもらった上で売買を行う事でリースバックの形で自宅に住み続ける事も可能です。
■任意売却は競売よりもメリットが多いです
以上のように、不動産市場の一般取り引き価格に近い売却価格で不動産物件を売却出来る任意売却には競売には無いメリットがたくさんあります。
不動産を売却される際には出来る限り任意売却で不動産物件を売却される事をおすすめします。