不動産投資家がリースバック物件を購入する理由とは?リースバック利用時の注意点等も解説

売却した不動産に賃料を支払って住み続ける不動産取引を、「リースバック」と呼びます。
近年、リースバックの市場規模は拡大しているとされていますが、その中では、不動産投資家が投資目的でリースバック物件を購入するケースも見られます。
では、不動産投資家は何のためにリースバック物件を購入するのでしょうか。
今回は、不動産投資家がリースバック物件を購入する理由を、リースバックの利用にあたって売主が注意すべきポイントとともに、わかりやすく解説します。
目次
リースバックとは
リースバックとは、所有している自宅などの不動産を売却し、その後売主は不動産の買主に毎月の賃料を支払って、賃貸としてその不動産に住み続ける仕組みの不動産取引を指します。
売却代金を得ながら、引っ越しはせず慣れ親しんだ自宅に住み続けることができる点が、リースバックの大きな特徴です。また、リースバックでは契約内容によっては、将来的に不動産を買い戻すことも可能です。
このようなメリットがあることから、リースバックはまとまった資金が必要になったときやローン返済が困難になったとき、また老後の資金確保や相続税対策として、一部で広く利用されています。
不動産投資家がリースバック物件を購入する理由
リースバック物件は、一般的な不動産会社だけでなく、不動産投資家によって購入されるケースもあります。不動産投資家がリースバック物件を購入する背景には、以下の理由があります。
・不動産を相場より安く購入できるから
・確実に毎月の賃料収入を得られるから
詳しくみていきましょう。
不動産を相場より安く購入できるから
リースバック物件は、通常の物件よりも売却価格が安くなることが多いとされています。リースバック物件の売却価格は、一般市場の約7〜8割程度となる場合があります。
つまり、不動産投資家にとって、リースバック物件はより有利な(安い)価格で購入できる物件となることがあります。市場よりも安い価格で不動産を購入できれば、その売却時に高い利益を出せる可能性は高くなります。
不動産投資家は不動産の転売による利益を重視するため、大きな利益が出る可能性があるリースバック物件に注目していると考えられます。
確実に毎月の賃料収入を得られるから
通常、不動産を購入しても、借り手が見つからない限り、賃料収入を得ることはできません。しかしリースバック物件の場合、最初から借り手が決まっていることが多いです。従って、リースバック物件の買主は、購入後に確実に毎月の賃料収入を得る可能性が高くなります。
空室のリスクが完全にないとは限りませんが、安定した収入を得られる点は、不動産投資家にとっても大きなメリットでしょう。
また、契約期間があらかじめ決まっている定期借家契約を選択することで、短期的かつ計画的に購入した不動産を売却することが可能になります。
さらに、売主が将来的に買い戻しを希望する場合には、その売却先としての候補を確保できる点も、不動産投資家にとってメリットです。
自宅を売却してリースバックを利用する売主の注意点
自宅を売却してリースバックを利用する売主は、いくつか注意すべきことがあります。特に以下の3点については、よく理解しておくことが大切です。
期限なく賃貸として住み続けることはできない
賃貸借契約には、「普通借家契約」と、「定期借家契約」があります。リースバック物件の場合、定期借家契約が使われることが多く、契約期間満了後は再契約が必要になる可能性があります。
定期借家契約では、あらかじめ決めていた期間を経過した後には、借主はその物件から出ていかなければなりません。つまり、リースバック物件を定期借家契約で借りた場合、借主(元々の売主)は期限なく住み続けられるわけでなく、期間満了後には退去しなければならないのです。
自宅を売却してリースバックを利用する売主は、多くの場合、契約更新が認められない賃貸として住み続けることはできないことを理解しておきましょう。
メンテナンス・修繕費を負担しなければならない可能性がある
リースバックでは、対象の不動産の設備のメンテナンス・修繕にかかる費用を売却後も住み続けている元の所有者が負担しなければならない可能性があります。
一般的な賃貸物件では、物件や設備の修繕は、入居者ではなく賃貸人が負担します。
しかしリースバックの場合、不動産を売却しても住み続けている元の所有者が、売却前からその物件に居住していたため、設備の不具合がいつ発生したものかを正確に判断するのが難しくなります。
そのため、設備のメンテナンス・修繕については、この元の所有者(=現借主)が契約上、費用を負担するケースが一般的です。
リースバック中に所有者が変わる可能性がある
リースバック物件では、不動産を売却してもそのまま住み続けている元の所有者(=借主)が賃貸契約の期間中に、物件の所有者が変更されることがあります。不動産会社や投資家が、その不動産を第三者に売却すれば、所有者が変わるためです。
所有者が変わることに、元の所有者である借主が不安を感じることもあります。
とはいえ、不動産の転売によって所有者が変わっても、借主の賃借人としての権利は守られ、賃貸借契約はそのまま継続されるのが一般的です。
ただし、ケースによっては、新しい所有者によって契約内容の変更を求められることがあるため、注意が必要です。
リースバックの流れ
リースバックの大まかな流れは、以下のとおりです。
1. 相談・仮査定依頼
2. 仮査定結果(売却価格・賃料)の提示
3. 現地調査および本査定
4. 契約条件(売却価格・賃料など)の提示
5. 売買契約・賃貸借契約の締結
6. 売却代金の受取り・賃貸借契約の開始
まずは、リースバックを利用したい不動産の売主が、リースバック事業者に問い合わせ、相談を行います。
リースバック事業者は問い合わせを受け、対象地域の情報を参考に仮査定を行います。
その内容に問題がなければ、現地にて本査定を行い、具体的な売却金額と条件を提示します。
売主が納得すれば、不動産売買契約と賃貸借契約を締結します。
契約が成立すれば、不動産の所有権はリースバック事業者へと移り、売主側には売却金額の入金が行われます。賃貸も開始され、売主は賃料を支払って、その不動産を借りる形で住み続けることになります。
リースバック事業者を選ぶ際のポイント
リースバックの利用にあたって、契約するリースバック事業者を選ぶ際には、以下のポイントを重視するようにしましょう。
豊富な実績を持つ事業者を選ぶ
契約するリースバック事業者は、リースバックなどの不動産取引・運用において豊富な実績を持つ事業者を選びましょう。過去の取引経験が多い事業者は、適正な査定や契約条件の提案について一定の適正基準を有していると思われますので、より安心して契約を進めやすくなるためです。
実績については事業者のホームページなどで確認し、説明を受ける際には担当者に積極的に質問をして、リースバックの条件に関して、口頭ではなく書面を交付してくれる事業者かどうか、安心してリースバックを任せられる事業者かどうか見極めるようにしましょう。
買取価格と賃料のバランスを考える
リースバックでは、不動産の売主は、リースバック事業者が提示する買取価格も重要な判断材料として考慮する必要があります。リースバックの場合、買取価格は一般的な市場価格よりも安くなるとはいえ、少しでも高く買い取ってもらえれば、売主の得る利益は大きくなります。
しかし、買取価格のみに注目するのは注意が必要です。たとえ買取価格が高くても、その後の賃料が高ければ、売主の負担が大きくなってしまうためです。
一般的には、買取価格が高くなると賃料も高くなる傾向があります。従ってリースバックでは、買取価格と賃料の両方に注目し、そのバランスを重視して契約を結ぶことが大切です。
賃貸借契約の種類を確認する
リースバックの利用にあたっては、不動産売却後の賃貸借契約の種類についても確認しておくことが重要です。
前述のとおり、賃貸借契約は「普通借家契約」と「定期借家契約」の2種類に分かれます。普通借家契約と異なり、定期借家契約では、契約期間の定めがあるため賃貸不動産に住み続けることはできません。
従って、リースバックでは、「賃貸借契約の種類はどちらなのか」「売主自身がどれくらいの期間住み続けたいのか」を考慮する必要があります。
まとめ
リースバック物件は、一般的な投資用不動産と比較して高い利回りが期待できる場合があるため、不動産投資家の注目を集めています。ただし、不動産投資家に購入された場合、転売される可能性が高くなります。
賃貸人の変更により契約内容の変更を求められる(例:賃料の増額)可能性があることを、リースバックを利用する売主(売却後の賃借人)は十分に理解しておく必要があります。
また、リースバックを利用する際には、契約する事業者の信頼性や売却価格と賃料のバランス、賃貸借契約の種類も重視することが大切です。
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監修者

氏名(資格)
小林 幸与(税理士・弁護士)
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