Column
コラム

リースバックに必要な書類は?手続きごとに分けて解説

リースバック 必要書類

売却した自宅に賃貸として住み続ける不動産の取引方法を、リースバックと呼びます。

リースバックは、自宅の維持費負担を軽減したい方やまとまった金銭が必要になった方、相続に備えたい方などに適した方法ですが、取引を成立させるためには、然るべき手続きと複数の書類の準備が必要です。

では、リースバックにはどのような書類が必要になるのでしょうか。

今回は、リースバックの利用にあたっての必要書類を、手続きの段階ごとに解説していきます。

 

リースバックの手続きの流れ

リースバックの手続きは、以下の流れで進みます。

1.リースバック会社や不動産会社へ問い合わせリースバック条件の仮査定を受ける
2.依頼する会社のリースバック条件の本査定と保証会社の審査を受ける
3.売買契約・賃貸借契約について契約内容を確認する
4.売買・賃貸借の契約を締結する
5.自宅不動産の名義を変更し、賃貸での居住を開始する

まずは、手続きの各手順を確認していきましょう。

1.リースバック会社や不動産会社へ問い合わせ仮査定を受ける

リースバックを検討する際には、まずリースバック会社や不動産会社に問い合わせ、手続きや条件について相談しましょう。

この時、自宅の情報を提示することによって、リースバック会社や不動産会社から売買金額やその後支払う家賃の仮査定を受けることができます。

ただし、仮査定の金額や売却の条件、担当者の対応は、リースバック会社や不動産会社によって異なります。リースバックを検討する際には複数のリースバック会社・不動産会社に相談して査定を受け、その結果や条件、対応をもとに依頼先を決めると良いでしょう。

2.本査定と保証会社の審査を受ける

仮査定を受けて依頼するリースバック会社や不動産会社を決めたら、本査定に入ります。

本査定では、担当者が現地を訪れ、物件の状態や破損の有無、境界線の確認など詳しい調査を行います。この調査の結果から、対象の住宅の最終的な売買金額やその後の家賃が決められます。

さらに、リースバックでは賃貸保証会社の利用が求められる場合があります。そのため、不動産会社による本査定のための調査だけでなく、賃貸保証会社の審査が必要になるケースもあります。審査に通らなければ、リースバックを進められない場合もあります。

この審査の手続きでは、本人確認書類や収入証明書など、依頼者が複数の書類を準備する必要があります。

3.契約条件を確認する

本査定の結果にある程度納得し、必要に応じて賃貸保証会社の審査を通過した場合には、不動産会社との契約に向け、条件の確認に入ります。

この段階では、不動産会社から提示される条件を精査するとともに、自分の希望も明確に伝えるようにしましょう。売買金額や家賃について交渉を行うことはもちろん、賃貸借契約の種類(普通借家契約か定期借家契約か)や将来的な買い戻しなど、あらゆる条件について確認しておくことが大切です。

4.契約を締結する

契約条件がまとまったら、不動産会社と契約の締結を行います。

リースバックの場合、行う契約は、自宅・土地を売却するための「売買契約」と売却後の自宅を借りるための「賃貸借契約」のふたつ。これらの契約手続きは並行して行われることが多いです。

また、場合によっては将来的な買い戻しに備え、「売買予約契約」を結ぶこともあります。「売買予約契約」は、将来的に物件を買い戻す権利を確保するための契約で、買い戻し可能な期間や買戻し金額価格などが明記されます。

契約においても、依頼者が複数の書類を用意しなければなりません。契約がスムーズに進むよう、後にご紹介する書類はよくチェックしておきましょう。

5.自宅を売却し賃貸での居住を開始する

契約が完了し、決済日にリースバック会社や不動産会社から支払いを受ければ、一連の手続きは完了です。

自宅や土地の所有権はリースバック会社や不動産会社へ移り、依頼者は毎月の家賃を支払って、そこに住み続けることになります。

 

本査定・審査時に必要な書類

まずは、前章の「2. 本査定と保証会社の審査を受ける」の手続きで必要になる書類についてご説明します。

リースバックのための本査定や賃貸保証会社による審査においては、不動産の評価や依頼者の支払い能力、信用情報を確認する必要があります。そのために依頼者が提出を求められるのが、次の4種の書類です。

身分証明書
  • 本人確認のための書類
  • 運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど顔写真付きが基本(ない場合は健康保険証などを提示)
住民票の写し
  • 住所確認のための書類
  • 役所またはコンビニのマルチコピー機で発行可能(マイナンバーカードを所持している場合)
固定資産税納税通知書または固定資産評価証明書
  • 不動産の評価を確認するための書類
  • 固定資産税の額と建物・土地の評価額が示された「固定資産税納税通知書」は、毎年1回、市区町村から送付される
  • 不動産の評価額が示された「固定資産評価証明書」は、都税事務所(東京23区の場合)や役所で発行可能
収入証明書
  • 支払い能力の調査のための書類
  • 勤務先から発行される「源泉徴収票」「給与明細書」、確定申告時の「申告書控え」、日本年金機構から送付される「年金振込通知書」「年金額改定通知書」などが該当

ただし、必要な書類はリースバック会社や不動産会社、保証会社、また契約内容によって異なる場合があります。

必要な書類については、担当者によく確認しておくようにしましょう。

 

売買・賃貸借契約時に必要な書類

次に、「4.契約を締結する」の手順において、不動産会社と売買契約および賃貸借契約を結ぶ際に必要になる書類をご紹介します。

これらの契約にあたっては、以下の書類と印鑑が必要になります。

身分証明書
  • 本人確認のための書類
  • 運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど顔写真付きが基本(ない場合は健康保険証などを提示)
印鑑証明書
  • 役所またはコンビニのマルチコピー機で発行可能(マイナンバーカード所持の場合)
  • 事前の印鑑登録が必要
実印
  • 印鑑証明書に登録している実印
登記識別情報通知または権利証(登記済証)
  • 不動産の権利に関する重要な情報が記載された「登記識別情報通知」は、不動産を取得した際に法務局から交付される書類
  • 2005年3月の法改正以前に不動産を取得した場合は、「登記識別情報通知」ではなく「権利証(登記済証)」が必要
  • 「登記識別情報通知」も「権利証(登記済証)」も再発行は不可のため、紛失した場合は、事前通知制度や本人確認情報制度などの代替方法で対応する必要がある

売買契約書や賃貸借契約書はリースバック会社や不動産会社が用意するため、依頼者が用意するのは基本的に、上記の書類と印鑑のみです。

ただし、ケースによって必要書類は異なる可能性があるので、どの書類が必要かは、事前に担当者に確認しておくようにしてください。

 

条件やリースバック・不動産会社によって必要になる書類

既にご紹介したとおり、リースバックに必要な書類には、条件やリースバック・不動産会社によって違いがあります。

場合によっては、前述した書類に加え、次の書類が必要になる可能性もあります。

住宅ローンの残高明細書
  • 住宅ローンが残っている場合
  • ローンを組んでいる金融機関で発行可能
保証人の確認書類
  • 賃貸借契約に際して保証人をつける場合
  • 賃貸保証会社を利用する場合は保証人の確認書類は不要
不動産の重要事項説明書
  • 不動産やその取引に関する重要事項が記載された書類
  • 不動産の売買契約や賃貸契約を締結する前に、不動産会社が宅地建物取引士を通じて交付する
不動産の図面
  • 建物の間取りや土地の測量情報が記載された図面
  • 不動産を建築・購入した際に不動産会社や建築会社から提供される
建築確認通知書(戸建ての場合)
  • 対象の建築物が建築基準法の要件を満たしていることを証明する書類
  • 建築確認申請を行った機関(市区町村や指定確認検査機関)から交付される
  • 紛失時には「建築計画概要書」「台帳記載事項証明書」などで代用可能
境界確定書(戸建ての場合)
  • 測量により確定した隣の土地との境界を証明する書類
  • 境界確定書が作成されていない場合は、土地家屋調査士や測量士に依頼して作成してもらう必要がある
掘削承諾書(戸建ての場合)
  • 私道を掘削する許可を得るための書類
  • ガスや水道管の設置・修理工事で私道を掘削する際に必要になる場合がある
管理規約や修繕計画の書類(マンションの場合)
  • 管理規約や修繕計画を査定に反映するための書類
  • 管理規約や修繕計画の書類を持っていない場合には、マンションの管理会社に発行を依頼
医師の診断書
  • 不動産会社や依頼者の年齢によって提出を求められる可能性がある

戸建てとマンションでも、必要になる可能性のある書類は異なります。

中には、発行に時間がかかる書類もあるので、必要書類の確認・用意は早めに始めておくようにしましょう。

 

まとめ

リースバックでは、主に本査定や賃貸保証会社による審査時、また契約締結時に複数の書類の提出が求められます。この時必要な書類の種類には、ケースごとに違いがあるので注意が必要です。

どの書類が必要かは、リースバック・不動産会社の担当者に確認し、書類の準備は、時間に余裕を持って始めておくようにしましょう。

リーガル東京では、不動産のリースバックに関するご相談を受け付けています。不動産に特化した弁護士と税理士が連携し、相談者様に最適な解決方法を提案します。

リースバックは、ホームローンの負担軽減や老後資金・相続対策に有効な方法です。住宅ローンや維持費の負担にお悩みをお持ちの方は、ぜひお問い合わせください。

 

監修者


氏名(資格)
小林 幸与(税理士・弁護士)

-コメント-
弁護士法人リーガル東京は弁護士・税理士などの専門家集団です。当法律事務所に相談依頼するだけで、購入先紹介・売買契約締結交渉・残債務整理・登記手続・税務申告のワンストップサービスを比較的低額の料金でご提供致します。

この記事を見ている人はこんな記事も見ています

       © 2023 リーガル東京グループ.