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店舗付き住宅はリースバックできる?通常の売却との違いも解説

リースバック 店舗付き住宅

お手持ちの不動産を売却した後も賃貸借契約を結び、同じ物件に住み続けられる仕組みを「リースバック」といいます。これは、不動産を現金化しながらも住み続けられるため、事業資金の調達や住宅ローンの返済が困難な場合に有効です。ただし、家賃の支払いが必要となるため、慎重な検討が求められます。

では、「店舗付き住宅」でもリースバックは可能でしょうか。本記事では、店舗付き住宅のリースバックについて、売却との違いも含めて解説します。

【関連記事】リースバックとは何?わかりやすく仕組み・メリット・デメリットを解説

 

店舗付き住宅の「リースバック」と「通常の売却」の違い

住宅に関するリースバックの情報は多くネット上に見受けられますが「店舗付き住宅」はリースバックできるのでしょうか。結論から言うと、店舗付き住宅もリースバックは可能です。この章では店舗付き住宅について「リースバック」と「通常の売却」の違いを詳しく解説します。

手間と時間

リースバックと通常の売却では「手間と時間」に大きな違いがあります。店舗付き住宅を売却する場合、まず買い手を探し、売却が成立するまで時間がかかることが一般的です。新たな住居の準備も必要です。

一方、リースバックでは、不動産業者が買い取るため買い手を探す手間が省け、短期間で売却が成立します。店舗付き住宅を家賃の支払いで維持でき、引っ越しも不要です。ただし、物件の条件によってはリースバックが適用されないこともあります。

事業の継続

店舗付き住宅を売却すると、今の店舗を手放すため、事業を継続するには新たな物件を探し契約し、引っ越しや開業準備が必要です。この間に事業が中断し、収入が一時的に途絶えるリスクがあります。

リースバックを利用すれば、家賃を支払うことで店舗を維持でき、引っ越しも不要です。ただし、リースバックでは家賃の支払いが継続するため、その負担が事業に影響するリスクにも留意が必要です。

資金の確保

緊急に事業資金が必要な際には、融資を検討することもありますが、審査が通らない可能性があります。

一方、リースバックは不動産の売却なので、金融機関の審査は不要です。そのため、迅速・確実に資金を調達できます。ただし、売却物件に抵当権が設定されている場合は、事前に解除が必要になる場合があるため注意が必要です。

 

店舗付き住宅のリースバックに成功したケース

店舗付き住宅のリースバックをされた方は、実際にどのような事情がありリースバックを活用されたのでしょうか。この章で成功したケースを紹介します。

リースバックで住宅ローンを完済し、店舗の事業継続に成功したケース

あるケースでは、店舗付き住宅を住宅ローンで購入し、店舗でサービス業を営んでいました。しかし、事業が悪化し、住宅ローンの返済に悩んでいたのです。
リースバックを検討し、不動産の査定を行ったところ、住宅ローンの残債が1,800万円に対して、不動産の評価額が3,000万円と査定されました。これにより、アンダーローンであることが判明しました。

リースバックを早急に実施した結果、売却代金で住宅ローンを完済できただけでなく、店舗も失わずに済みました。さらに、残金の1,200万円は生活費や店舗の改装費に充てることができました。

融資審査に通らず、リースバックで資金調達に成功したケース

このケースでは、店舗付き住宅で事業を営んでいましたが、事業が悪化しました。融資を申請しましたが、審査に通らず、資金調達が困難な状況に陥りました。そこで、リースバックを検討し、不動産の査定を依頼したところ、高額な売却価格が期待できることがわかりました。

リースバックを実施し、売買が成立した結果、得られた資金で事業の再建に取り組むことができました。その後、経営は安定しました。また、住宅にはお子様が住んでいましたが、リースバックによって自宅に住み続けることができ、転校する必要もありませんでした。

 

店舗付き住宅のリースバックが難しいケース

住宅ローンの返済や事業の立て直しなど、メリットが多い店舗付き住宅のリースバックですが、知っておきたい「リースバックが難しいケース」もあります。詳しくは以下の通りです。

土壌が汚染しているケース

事業の種類によっては、土地に土壌汚染が発生している場合があります。たとえば、工場やクリーニング業を自宅で営んでいるケースがその一例です。

リースバックを検討する不動産業者は、投資目的で物件を購入し、後に第三者へ売却することも考えています。しかし、土壌汚染があると再度売却するのが難しくなる上、土地の回復に多額の費用がかかることもあります。そのため、土壌汚染が確認された場合、リースバックができなくなる可能性があります。

再売買が厳しいエリアに立地しているケース

リースバックでは、将来的な再売買を前提に不動産を購入します。そのため、過疎地や再売買が難しいエリアにある店舗付き住宅については、不動産業者がリースバックをためらうことがあります。特に過疎地では空き家が増加し、不動産の購入者が少なくなっているため、リースバックを断られるケースもあるのです。

再建築不可物件のケース

リースバックでは、将来の不動産の再売買を考慮して査定が行われます。そのため、「再建築不可物件」と呼ばれる物件は、リースバックを断られることがあります。

再建築不可物件とは、現在の建築基準法における「接道義務(建物が道路に一定の幅で接していなければならないという規定)」を満たしていない物件のことを指します。このような物件は購入時に割安で魅力的ですが、リースバックでは再売買が難しくなるため、デメリットとなります。

未登記の不動産はリースバックできる?

不動産の中には、先代やその前の所有者名義のままの不動産や、未登記部分がある物件もあります。基本的に、未登記の物件ではリースバックを進めることが難しくなります。特に店舗付き住宅では、主要な建物が登記されていても、小屋や増築部分が未登記である可能性があります。
相続登記を行った後であれば、リースバックが可能な場合もあります。未登記部分がある場合は、実際に物件を確認して業者に相談することが重要です。

リースバックを進める際、経験豊富な不動産業者や弁護士に相談することで、未登記物件に関する問題もスムーズに対応できる可能性があります。

 

まとめ

この記事では店舗付き住宅のリースバックについて、売却との違いや成功・難しいケースにも触れながら詳しく解説しました。店舗付き住宅であってもリースバックは可能です。また、住宅ローンの残債があるケースでも金融機関や保証会社などの債権者と交渉することにより、リースバックが成功する例は少なくありません。

弁護士法人リーガル東京はリースバック、任意売却はもちろん事業に関するお悩みにも対応しています。弁護士・税理士・不動産会社が連携しながら問題の解決に向けて尽力いたしますのでご安心ください。あなたの身近な相談所として、法律相談や予防法務のご相談も承ります。店舗付き住宅のリースバックもどうぞお気軽にご相談ください。

 

監修者


氏名(資格)
小林 幸与(税理士・弁護士)

-コメント-
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