リースバックの不動産売買契約書・建物賃貸借契約書の確認ポイントとは? 特約についても解説

リースバックとは、自宅を不動産会社などに売却した後も、買主との間で賃貸借契約を結び、家賃を支払って住み続ける形の不動産取引の方法です。
リースバックの利用にあたっては、借主(住宅の元所有者)は、不動産売買契約と建物賃貸借契約を原則として同時に、あるいは連続して締結することになります。これらの契約ではそれぞれ契約書を作成しますが、リースバックを成功させるためには、ポイントを押さえながら、その契約書の内容をしっかりチェックすることが大切です。
そこで今回は、リースバックに伴う不動産売買契約書と建物賃貸借契約書の確認ポイント、また特によく確認すべき特約について、わかりやすく解説します。
不動産売買契約書の確認ポイント
不動産売買契約書は、リースバックにおいて自宅を売却するために、買主(通常は不動産会社または投資家)と交わす契約書類です。その特に重要な確認ポイントは、以下の3つです。
売買金額
不動産の売買にあたって、重要なポイントはやはり売買金額でしょう。不動産売買契約書に署名する前に、買主と合意した金額が正しく記載されているか、また「相場と比べて低すぎないか」も併せて確認する必要があります。
また、住宅の売買金額から仲介手数料や登記費用などの諸費用が差し引かれていないかも、確認しておくようにしましょう。
その他の売買条件のチェック
住宅の所有権移転と引き渡しのタイミングも、きちんと把握しておくことが重要です。
住宅の引き渡しのタイミングは、売買代金の決済と同じタイミングになるのが一般的です。不動産売買契約書には引き渡し日が記載されているので、必ず確認しておくようにしましょう。
また、資金が必要になる時期に決済が間に合うかどうかも、確認ポイントの1つです。
さらに、買戻しを希望する場合、買戻しの特約の条項が売主の希望の通りになっているかチェックします。
建物賃貸借契約書の確認ポイント
リースバックでは、売却した物件を賃貸として借りるために、貸主である買主(不動産会社や投資家など)と賃貸借契約を結びます。このとき交わされるのが建物賃貸借契約書ですが、契約書への署名にあたっては、以下のポイントを必ず確認しておくようにしましょう。
契約の種類と居住期間
建物賃貸借契約には、契約が更新されていく「普通借家契約」と、あらかじめ契約期間が決まっている「定期借家契約」があります。定期借家契約の場合、契約満了時には、借主はその家を退去しなければなりません。
リースバックの賃貸借は、定期借家契約となるケースが多く、契約期間は2〜3年となることが一般的です。
計画的に買い戻しや引っ越しをするためにも、建物賃貸借契約書を交わす際には、契約の種類と居住期間について、しっかり確認しておくことが大切です。
初期費用・家賃
住宅の賃貸契約にあたっては、敷金や礼金などの初期費用が発生する場合があります。また、賃貸として住宅に住み続けるためには、貸主に家賃を支払わなければなりません。
建物賃貸借契約書には、この初期費用や賃料についても明記されています。署名前には、記されている金額と合意した金額に相違はないか、確認するようにしましょう。
家賃の支払い方法
建物賃貸借契約書には、今後の家賃の支払い方法についても記載されます。月払いか一定期間分の一括払いか、また支払い日はいつか確認しておき、スムーズに支払いができるようあらかじめ準備をしておきましょう。
中途解約時の対応
賃貸借契約では、契約を中途解約する場合、一定期間前まで(1〜2カ月程度が一般的)に相手にその旨を通知しなければなりません。これを予告期間と呼びます。
具体的な予告期間については、建物賃貸借契約書に記載されます。この契約書では、中途解約時の予告期間についても必ずチェックしておきましょう。
原状回復義務の有無
原状回復義務とは、借りた建物を入居時と同じ状態(経年劣化は除く)にして返却する義務のことです。
通常の賃貸借契約では、借主には原状回復義務が課せられることが多く、例えば、壁に釘穴を開けたり、床にタバコの焦げ跡を付けたりした場合、借主がその修繕費用を負担します。
ただし、リースバックにおける賃貸借契約では、交渉や契約内容によっては原状回復義務が免除されることもあります。この点についても、事前に建物賃貸借契約書でしっかりと確認しておくことが大切です。
修繕時の対応
リースバックの場合、借主(住宅の元所有者)は、売却後も自宅に賃貸として住み続けることが可能です。
しかし、暮らしていると、所有者が変更された住宅でメンテナンスが必要になったり、設備が故障することがあります。
このような場合に備えて、修繕に許可が必要かどうか、また誰が手配や費用を負担するのかといった事項は、建物賃貸借契約書に記載されています。内容は契約によって異なるため、建物賃貸借契約を結ぶ際には必ず確認しておくことが大切です。
リースバックの契約書で確認した方がよい特約
リースバックの契約書では、特約(通常の契約内容に追加される特別な取り決め)についても注意して見ておくことが大切です。
特に以下の特約は、借主(住宅の元所有者)の将来に大きく関わることであるため、事前に必ず確認するようにしましょう。
買い戻し特約
リースバックでは、売却した住宅を将来的に買い戻すことが可能です。この権利を確保するために契約に追加されるのが「買い戻し特約」です。
この特約は、住宅の売買契約や建物賃貸借契約に付けられることがあり、内容は不動産売買契約書や建物賃貸借契約書に記載されます。
買い戻し特約に関しては、契約書に記載された買い戻し期間や金額などの条件を特に注意して確認してください。
なお、買い戻し特約では、買い戻し期間は通常で4~5年とされています。買い戻し可能期間を過ぎると、買い戻しはできなくなるため注意が必要です。
中途解約特約
通常の賃貸借契約では普通借家契約が結ばれることが多いですが、多くのリースバックでは、定期借家契約が締結されます。
定期借家契約の場合、契約期間中に中途解約を行うことは基本的に認められず、解約できた場合でも違約金の支払いが発生します。しかし、中途解約特約を付けておけば、違約金なしで中途解約できる可能性があります。
建物賃貸借契約書では、中途解約特約に関する文言があるかどうかも、しっかりチェックしておきましょう。
契約違反に関する特約
建物賃貸借契約書では、契約違反に関する特約の文言があるかどうか、またその内容も確認しておきましょう。この特約がある場合、契約違反をした場合に違約金が発生する旨や契約が解除となる旨などが記載されている可能性があります。
契約違反をしないことはもちろんですが、万が一の場合に備え、特約の内容は把握しておくことが大切です。
リースバックを行う際のポイント
リースバックの手続きを不動産会社の指示どおりに進めるだけでは、注意が必要です。リースバックを成功させるためには、自宅が市場でどの程度の価格で売却できるかという「適正価格」を知り、不動産や法律の専門家のサポートを受けたうえで、必要な手続きや判断を行うようにしましょう。
自宅の適正価格を知る
リースバックを検討する際には、まず自宅の適正価格を知る必要があります。適正価格を知らずに不動産会社の提示額にそのまま合意すると、相場より大幅に安く売却してしまうおそれがあるためです。たたし、適正価格に近い売買価格を希望すると、毎月の賃料が高額になる傾向があります。
市場の相場を把握しておけば、不動産会社との交渉の余地も生まれ、より高い金額で住宅を買い取ってもらえる可能性は高くなります。
専門家のサポートを受ける
一般の方がリースバックに詳しいことはあまり多くないでしょう。
リースバックは、不動産取引や法律の知識が必要な手続きです。諸々の手続きにおいて正しい判断を行うためには、専門家のサポートを受けることが大切です。
リースバックを安心して進めるためには、弁護士などの法律の専門家に相談し、リスクや契約内容を事前にしっかりと確認しておくことが重要です。
まとめ
リースバックで交わされる不動産売買契約書と建物賃貸借契約書の確認ポイントについてご紹介しました。
上記の点は、リースバックを成功させるために重要です。契約後に「思っていた売買金額と違った」「違約金があるなんて聞いていない」などとならないためにも、契約書の内容はよくチェックしたうえで、署名捺印を行うようにしましょう。
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監修者

氏名(資格)
小林 幸与(税理士・弁護士)
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