任意売却をするとブラックリスト入りする?登録される期間等も解説
住宅ローンの返済が困難となってしまったら、「任意売却」という方法を使って解決を目指せます。ただしオーバーローン物件では金融機関や保証会社(債権者側)の同意を得て、住宅ローンの残債がある住まいを売却しなければなりません。
任意売却を行う場合、「ブラックリスト」について気にされる方もいるのではないでしょうか。では、ブラックリストとはどのようなもので、任意売却をするとどうなるのでしょうか。
この記事では任意売却とブラックリストに注目し、登録される理由や期間を中心に詳しく解説します。
任意売却をするとブラックリストに載るのか?
任意売却をしたらブラックリストに載る(信用情報に事故情報が掲載される)のではないかと不安を抱くかもしれませんが、実際は、任意売却をしたからと言ってブラックリストに載るわけではありません。
住宅ローンの滞納が3か月以上続いている場合に、ブラックリストには載ってしまいます。
任意売却をされる場合は、住宅ローンの滞納が前提となりますので、滞納が3カ月以上経過している場合は、任意売却をしているかどうかに関わらず、ブラックリストには載ります。
すでにブラックリストに載っており、早期に住宅ローンの問題を解決したい場合は、任意売却を検討することがおすすめです。
「ブラックリストに載る」とは
では、そもそも「ブラックリストに載る」とは、どういうことなのでしょうか。
「ブラックリストに載る」とは、信用情報機関に事故情報が登録されることを指します。
信用情報機関についての詳細は後述していますが、金融機関などが加盟しており、顧客の事故情報を共有する機関です。具体的には、借入金の滞納、債務整理などが事故情報に該当します。
新たな借入を審査する場合などに、金融機関などが信用情報機関に照会を行うことで、事故情報を確認し、その個人の返済能力を確認するために利用されています。つまり、事故情報が登録されている場合は、返済能力に問題があると判断されるということです。
個人信用情報を扱う機関とは
現在日本国内には3つの信用情報機関があります。さまざまな金融機関や消費者金融が加盟し、会員に対して顧客の事故情報を共有しています。3つの機関は以下のとおりです。
1.全国銀行個人信用情報センター(KSC)
金融機関(銀行や信用金庫、信用組合など)が会員になっています。
2.株式会社シーアイシー(CIC)
クレジット会社や信販会社が会員になっています。
3.株式会社日本信用情報機構(JICC)
消費者金融などが会員になっています。
ブラックリストに載るデメリット
住宅ローンを3か月以上滞納すると、任意売却を行わなくてもブラックリストに載ります(信用情報機関に事故情報が登録されます)。では、ブラックリストに載ってしまったら、実生活にはどのような影響があるのでしょうか。この章では、ブラックリストに載ってしまったら、できなくなることに焦点を当てて解説します。
影響1 新たな借り入れ
信用情報機関に事故情報が登録されたら、新規の融資は受けられません。滞納を解決したくても、住宅ローンの借り換えはできなくなります。
影響2 クレジットカードの利用や発行
ブラックリストに載ってしまうと、クレジットカードの利用ができなくなり、新規のカードも発行できなくなります。スマホ代や水道光熱費など生活に欠かせないものをクレジットカード払いにしている方は、特に注意が必要です。
また、クレジットカードと一緒に発行しているETCカードも使えなくなります。
影響3 携帯・車等のローン購入不可
スマホをはじめとする家電や車などをローン購入することもできなくなります。現金で一括購入する場合や、家族名義で購入する場合は、影響ありません。
ブラックリストに載ってしまった後の注意点
住宅ローンの滞納が続くとできなくなることが多く、闇金融や給与ファクタリングなどからお金を借りてしまう方もいます。違法な金融業者は、一般的な金融機関からお金を借りられなくなった人をターゲットにし、高金利で貸付します。このような業者は悪質な取り立てを行うため、借りないようにご注意ください。
ブラックリストに載る期間
ブラックリストに載る(信用情報機関に事故情報が登録される)と、上記のように生活に一部支障が生じます。特にクレジットカードが使えなくなる点は、不便さを感じやすい点です。
しかし、ブラックリストに載る(信用情報機関に事故情報が登録される)情報は、その後一生登録され続けるわけではありません。一定期間を過ぎると、情報は抹消されます。では、期間とは一体どの程度なのでしょうか。
異動情報の場合
住宅ローンなどの借入を滞納した場合には異動情報(ネガティブな情報)が信用情報機関に登録されます。しかし、すべての延滞情報が記録されるわけではありません。主に「約定返済日より61日以上、または3カ月以上の延滞」が対象となります。住宅ローンの場合は滞納開始から3か月が目安です。異動情報の登録後は5年から7年間、情報が登録されたままと言われています。
■任意売却を経て、完済すると事故情報はすぐ消える?
住宅ローンの滞納を解決するために任意売却を実行し、その後残債の返済を続け完済できたら、事故情報はすぐに消えるでしょうか。結論から言うと、しばらくは残されたままとなります。完済後5年から7年間、情報が登録されたままと言われておりますので、ご注意ください。
官報情報の場合
任意売却や競売の後に、住宅ローンの残債の返済ができない場合には自己破産をするケースもあると思います。自己破産の場合は、住宅ローンの滞納よりも事故情報の登録期間が長くなります。
自己破産や個人再生を行うと、「官報情報」が最大で10年間登録されます。CICは官報情報を保有しないものの、JICCは最大5年、KSCで最大10年が登録期間と言われています。官報に載るような出来事があっても、10年以上経過すると、再度住宅ローンの審査を通過できる可能性があります。(※その時点での収入などにもよります)
このように、事故情報は一定期間残されるものの、いつまでも残るわけではありません、一定期間をクリアできれば、再び問題なく借入できるようになります。
任意売却をする場合、連帯保証人もブラックリストに載るのか
住宅ローンの借入をする際には、連帯保証人を依頼しているケースも多いでしょう。住宅ローンを3ヶ月以上滞納して任意売却をすると、連帯保証人もブラックリストに載る場合があります。
債務者が住宅ローンの滞納を続けていると、連帯保証人に対しても督促が行われるのです。連帯保証人にも大きな影響を及ぼすため、滞納が解決できそうにない時には、早めにその事実を伝えることが大切です。
任意売却は競売よりメリットがある売却方法
住宅ローンの滞納が継続している時点で、ブラックリストに載る(信用情報機関に事故情報が登録される)事になります。しかし、そのままの状態を放置してしまうと競売はもちろん、自己破産のリスクも高まります。できる限り早期に、任意売却を検討しましょう。
任意売却は競売よりもメリットがあります。競売よりも高く住まいを売却できるため、住宅ローンを完済できることが多く、残債が残っても住宅ローンの充当額が大きくなるのです。残債が少なければ完済できる可能性は高くなるでしょう。また、任意売却は債権者との交渉により、分割返済ができる場合もあります。
任意売却と競売の違いについては、こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
「任意売却と競売の違いを比較|メリット・デメリットも詳しく解説」
まとめ
任意売却は住宅ローンの滞納した場合でも行える売却方法です。住宅ローンを滞納した場合は基本的にブラックリスト載る(信用情報機関に事故情報が登録される)事は避けられません。ブラックリストに載った場合、クレジットカードが使えなくなるなどの不便さはあるものの、事故情報は一定期間を過ぎれば抹消されます。
ブラックリストに載ったことをよく理解せずに恐れて、住宅ローンの滞納を放置してしまうと、競売に発展する可能性もあります。
住宅ローンの滞納を解消できないのであれ、競売よりもメリットがある打開策である任意売却を早期に検討しましょう。任意売却についての疑問やご質問は、お気軽に弁護士法人リーガル東京にお寄せください。
監修者
氏名(資格)
小林 幸与(税理士・弁護士)
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