リースバックにおける退去とは?手続き・費用・ポイント等を解説
リースバックは、「資金調達の必要があるが、引っ越しはしたくない」という方に向いている不動産取引です。リースバックを利用した場合、売主は売却した住宅に賃貸人として住み続けることができます。
ただし、リースバックで売却した住宅には、永遠に住み続けられるわけではありません。売主(入居者)が自主的に退去することもあれば、不動産会社から契約終了や解除を理由に退去を求められることもあります。
今回は、リースバック利用時の住宅からの退去について、具体的なケースや手続きの流れ、費用などをわかりやすく解説していきます。
リースバックにおける退去とは
リースバックとは、所有している住宅を不動産会社に売却し、それと同時に賃貸借契約も結んで、売却後の住宅に賃借人として家賃を支払いながら住み続けるという形の不動産取引を指します。
リースバックを利用すれば、売主は売却資金を得ながら、引っ越しせずにそこに住み続けることが可能です。
つまり、リースバックは「自宅を売却して資金を得たいけれど、引っ越しはしたくない」という方に向いた取引なのです。
とはいえ、リースバックで売却後の住宅に住んでいる場合でも、入居者(売主)がその住宅から出ていくことはあります。これが、リースバックにおける退去です。
リースバックにおいて入居者の退去が発生するケースとしては、次のようなものが考えられます。
・契約満了に伴う退去
・契約期間途中での自主的な退去
・契約解除に伴う退去
リースバックの賃貸居住では、契約満了や入居者の自主的な退去だけでなく、不動産会社によって契約解除に基づき退去を求められるケースも存在します。
契約解除に伴う退去を回避するためには、契約内容をきちんと遵守することが大切です。
契約解除に伴う退去の流れ
リースバックで住んでいる住宅から入居者が契約解除に伴う退去を求められるのは、契約に違反した場合です。
例えば、家賃の不払いや迷惑行為などが挙げられます。家賃の不払いについては、滞納が2カ月以上続くと、契約解除に伴う退去を求められるのが一般的です。
家賃滞納による退去までの流れは、以下の通りです。
・不動産会社による家賃の督促(督促状の送付、電話、訪問など)
・内容証明郵便による催告
・連帯保証人への督促・催告
・契約解除の通知
・強制退去
リースバック物件でも、契約解除に伴う退去が発生するのは、1ヶ月分の家賃の支払いを忘れただけの場合ではありません。家賃の不払いがあり、賃貸人と賃借人の信頼関係が破綻していると判断される場合、認められるものです。
その判断の一般的な目安は、2カ月以上続けての家賃の不払いがあることです。このような場合、物件から契約解除に伴う退去を求められる可能性は高くなります。
また、契約解除に伴う退去ではないものの、賃貸人と賃借人が定期借家契約を締結していて、契約満了となり、再契約がされない場合にも、賃借人はその物件から出ていく必要があります。ただし、不動産会社と交わしている契約が普通借家契約である場合には、契約は特別な事情がない限り、自動更新されます。
退去にかかる費用
ご紹介した通り、リースバックで家賃を支払って住んでいる住宅から、入居者が退去することになる可能性はあります。
では、リースバック物件からの退去にはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。
リースバック物件から退去する際、基本的には特別な費用はかかりません。必要なのは、通常の引っ越しと同じように、引っ越し業者への依頼費や新居の契約費用、不用品の処分費用などです。
また、物件の状況や不動産会社の方針によっては、入居者が退去した後にリースバック物件が取り壊される場合があります。その場合、原状回復費用を請求されないケースが多いです。
ただし、家賃を滞納している場合は、退去後も滞納分の家賃や遅延損害金を支払う義務が残る点に注意が必要です。
退去を検討した方がよいケース
リースバックにおける賃貸居住では、入居者自らが退去を検討すべきケースも存在します。
具体的には、以下のようなケースです。
・契約期間の満了時
・家賃の支払いが負担になっている
・新たに住みたい物件がある
・住宅の買い戻しを諦めた
上記4つのケースについて詳しくみていきましょう。
契約期間の満了時
リースバックの賃貸借契約期間の満了時は、退去を検討すべきタイミングです。
リースバックでは、多くの場合、契約期間があらかじめ決められている定期借家契約という賃貸借契約を交わします。この契約が満了となり、再契約を締結する場合には、条件が変更される可能性があります。
条件を飲めない場合には、無理して再契約を行うのでなく、退去を検討しましょう。
家賃の支払いが負担になっている
リースバックを利用した場合の家賃は、相場よりも高くなることがあります。この家賃の支払いが負担になっている時には、早めに退去を検討することも選択肢の1つです。
家賃は継続的に支払っていくものです。居住期間が長くなるほど、負担は大きくなっていきます。
それならば、無理なく支払える家賃の安い物件に引っ越し、毎月の負担を抑えることを検討しましょう。
新たに住みたい物件がある
リースバックは、「売却した後もそこに住み続けたい」というニーズを叶えるサービスです。
入居者が新たに住みたい物件を見つけたのであれば、相場よりも高い家賃を支払って、そこに住み続ける必要は必ずしもありません。
より良い条件の物件を見つけたのであれば、引っ越しを検討しましょう。
住宅の買い戻しを諦めた
リースバックでは、契約内容によっては、一度売却した住宅を買い戻すことが可能です。そのため、将来的にその住宅を買い戻すことを目指し、家賃を支払いながら住み続けている入居者もいます。
もし将来的な住宅の買い戻しを諦め、そこに住む理由が特にないのであれば、退去を検討するのも1つでしょう。
退去する際のポイント
最後に、リースバックを利用し、売却後に賃借人として住んでいた住宅から退去する際に気をつけたいポイントを3つご紹介します。
退去の決断は早めに行う
リースバック物件からの退去は、早めに決断することが大切です。
決断が遅れれば遅れるほど家賃負担が増えていきますし、実際の退去までには、新居探しや引っ越しなど、準備に時間がかかることもあるためです。
特に、希望する条件に合う物件はすぐに見つかるとは限りません。しかし、条件に合わない物件に引っ越すのも避けるべきです。
金銭負担を早く軽減し、納得いく物件に引っ越すためにも、「いつまでに退去する」という決断は早めに行い、目標の時期に間に合うよう、諸々の対応を早めに進めましょう。
引っ越し費用を確保する
リースバック物件からの退去には、引っ越し費用や新居の契約費用がかかります。例えば、引っ越し業者への依頼費や不用品処分費、新居の敷金・礼金、保証会社への保証料、仲介手数料などが該当します。
これらを支払うには、ある程度の費用が必要です。
退去にあたっては、引っ越しや新居契約に必要な費用をしっかり確保しておくようにしましょう。
家財の処分は計画的に行う
「リースバック物件からの退去では、物件内の家財は基本的に入居者が自己負担で処分する必要があります。
家財の処分は、意外に手間のかかる作業です。退去をスムーズに進めるためには、自治体のルールや業者の規定に従って、計画的に処分を進めておくことが重要です。
まとめ
リースバックでは、契約満了時または入居者の希望するタイミングで、リースバック物件から退去することができます。
また、入居者に重大な契約違反があった場合には、不動産会社によって契約解除に伴い退去を求められることもあります。
リースバックは、「売却した住宅に住み続けられること」「売却した物件を契約内容によっては将来的に買い戻せること」がメリットの取引です。
新たに住みたい物件を見つけたり買い戻しを諦めたりした場合には、退去を検討するのも一つの方法です。
また、再契約により条件が悪化した場合や家賃が負担になっている場合も、退去を検討することが選択肢の1つでしょう。
リーガル東京では、住まいのリースバックに関するご相談を随時受け付けております。
不動産に特化した弁護士と税理士、不動産会社が連携し、それぞれのケースに合った最適な具体的解決の道筋をアドバイスいたします。
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監修者
氏名(資格)
小林 幸与(税理士・弁護士)
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