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リースバックの契約書で確認すべき内容|よくあるトラブルも解説

リースバックの契約書で確認すべき内容|よくあるトラブルも解説

住まいをリースバックの手法で売却する場合、ただ不動産を売却するのではなく、その後自宅を賃貸化するための賃貸借契約も締結する必要があります。そこで、この記事ではリースバック時の契約書について、確認すべき内容を詳しく解説します。よくあるトラブルもあわせて紹介しますので、ぜひご一読ください。

リースバック時に締結する2つの契約書

リースバックを行う場合、不動産に関する契約書を「2種類」締結する必要があります。「売買契約書」と「賃貸借契約書」です。

売買契約書

リースバックは、「今住んでいる自宅を売却し、賃貸化して住み続ける」ことを意味します。まずは住まいを売却するための「売買契約書」を締結します。

売買契約書とは、不動産の売買内容を細かく記載している契約書のことです。物件の売買価格や引き渡す年月日など、売主側と買主側の合意内容を記載します。

賃貸借契約

今の住まいに住み続けるために、もう1つ必要な契約書が「賃貸借契約書」です。こちらの書類は、貸主と借主との間で締結する契約書で、契約する期間や賃料など、不動産を借りるための条件が記載されており、合意の上で契約を締結します。

リースバックでは、買主側が同時に貸主となり、売主側が借主となります。

リースバックの売買契約書で確認すべき内容

リースバックを成功させるためには、事前にしっかりと契約内容を確認した上で締結する必要があります。そこで、まずはリースバックで住まいを売却する際に必要となる「売買契約書」について、確認をすべき内容を解説します。

1 売主と買主

リースバック物件を売る「売主」と、物件を買う「買主」との間で売買契約書を締結するため、売主と買主の氏名や企業名を記載します。たとえば、個人の住まいをリースバックで売却する場合、売主側が個人名、物件を買う不動産会社の法人名が買主側で記載されています。

2 売買物件

一般的な不動産売却と同様で、どの物件を売買契約するのか特定するために、物件の所在地や、集合住宅の場合はマンション名などの「売買物件」に関する情報を記載されます。物件の情報は正しく特定する必要があるため、「登記事項証明書(登記簿謄本)」を使って正確に記載します。

3 物件の告知事項

売買時に事前に告知しておかなければいけないことについても、記載されます。たとえば、壁や床の汚損や壊れている設備などを記載し、修理費用負担の有無などの詳細を確認しましょう。また、以前にリフォーム歴がある場合なども、合わせて告知時効に記載します。

4 売却価格

もちろん売買価格も正確に記載する必要があります。

5 決済の日程

不動産売買では、売買代金の決済について、契約書内で「決済期日」を記載します。決済の日程と合わせて、一般的には決済の方法も記されますので、併せて記載内容を確認しましょう。

6 手付金

高額の費用が動くリースバックでは、「手付金」についても記載されます。手付金とは買主側が売主側へ、売買価格の一部について手付金という名目で支払うものです。手付金には相場があり、売買価格のおおよそ5~10%程度とされます。

たとえば、2,000万円の売買代金で5%の手付金なら、100万円が先行して売主側へ支払われます。

7 所有権の移転時期

不動産には所有権があり、建物にも土地にもそれぞれ所有権が存在しています。リースバックをする際は、売買後は所有権が買主側に移転するため、移転の時期を明記する必要があります。
一般的には、トラブルを防ぐためにも売買代金の決済・物件の引き渡し・所有権移転は同時に行われます。

8 税金等

不動産売却時は、税金や物件の管理費・修繕積立金などの費用負担についても明記します。たとえば、固定資産税は引き渡しまでは売主側、引き渡し後は買主側が支払うこととし、日割り清算を行うことが一般的です。

リースバックの賃貸借契約書で確認すべき内容

売買契約書とは別に、リースバックでは買主(貸主)との間で、賃貸借契約書を交わすことになります。では、賃貸借契約書の中では、どのような点を確認すべきでしょうか。

1 契約の種類

リースバックの契約には、2つの種類があることをご存じでしょうか。契約は「普通借家契約(普通賃貸借契約)」もしくは「定期借家契約(定期賃貸借契約)」のいずれかです。契約をする時には、どちらなのか必ず確認してください。

定期借家契約の場合、契約の更新ができないため、期間満了のタイミングで退去するか、再契約の交渉が必要です。

2 契約期間

一般的な賃貸借契約のように、リースバックの賃貸借契約にも契約期間があります。いずれも2~3年程度で定められることが多いでしょう。
リーガル東京でご紹介する買主様は、5年以上の賃貸借契約が可能です。

3 家賃、敷金、礼金と支払い方法

ご自宅に引き続き住むことができるリースバックですが、賃貸借契約となる以上、家賃や敷金、礼金についても定める必要があります。一般的なアパートやマンションの家賃よりも、リースバックは家賃が高くなる傾向があるため、注意が必要です。
また、家賃の支払い方法(例・口座振り込みなど)も定める必要があります。

4 中途解約の方法

賃貸借契約の期間中であっても、契約を解約することは可能です。しかし、中途解約は違約金が発生することがあります。

もしも中途解約が予想されるなら、解約権留保特約を付帯し、違約金がない契約にしておく必要があります。特に「定期借家契約」では原則として中途解約は認められていないため、注意しましょう。

5 設備の修繕

賃貸借契約書内には、「設備の修繕」に関しても記載します。元々自宅だったとは言え、賃貸借契約を行っている以上、浴槽やトイレなどの設備は「借りもの」です。もしも壊れてしまったら、誰が費用を負担して修繕するのか、契約書内で定めておく必要があります。リースバックの賃貸借契約後は、自由に修繕やリフォームはできなくなるのです。
なお、小規模な修繕は借主負担となるケースがあります。

6 退去時の原状回復

こちらも一般的な賃貸借契約と同じで、退去する際の原状回復についても賃貸借契約書内に記載されます。原状回復義務がないリースバックもありますので、契約時にきちんと確認しましょう。

7 火災保険

多くの方はご自宅に火災保険をかけていますが、リースバック後は所有権が移転し、万が一の際の保険金支払先が変更となるため、現在の火災保険から契約を変更する必要があります。

ご自身でかけていたものは解約し、貸主が加入するべき火災保険(家財保険が多い)についても賃貸借人契約書内に記載されます。

リースバックの流れ

では、リースバックを契約する場合には、どのような流れで進むのでしょうか。
この章ではリースバックの流れについて解説します。

①リースバックの相談

まずはリースバックができる会社を選んで、相談を行います。

②現地調査・査定

複数社に見積もりを依頼し、比較した上で信頼できる不動産会社に現地の調査や本格的な査定を依頼します。任意売却の場合は、査定結果によってその後の生活再建にも大きな影響が及ぶため、慎重に判断しましょう。

③契約条件の確認

査定結果に納得ができたら、「売買契約」と「賃貸借契約」の両方を結ぶために2つの契約内容を確認します。十分に確認した後に、契約を締結します。

④売買完了・賃貸スタート

契約締結後は売買代金が決済され、所有権の移転も行われます。その後、ご自宅には借主として住むことが可能となります。

 

契約書を確認することで防げる「リースバックのトラブル」

リースバックを利用する際にはトラブルに見舞われることがありますが、その中には契約内容を確認することで未然に防げるトラブルもあります。ここでは、そのような事例を2つ紹介します。

1 契約更新時のトラブル

リースバックでは、賃貸借契約の際に「定期借家契約」が選ばれることが多いです。契約期間満了後、再契約できると聞いていたとしても、再契約を拒否されたり、再契約時に家賃を上げられたりする可能性があります。

できれば賃貸借契約は、長期間安定して暮らせる「普通借家契約」が望ましいでしょう。定期借家契約でも再契約できる契約にしておくと良いでしょう。

2 買い戻し時のトラブル

リースバック契約は買い戻すことが前提ですが、きちんと契約書の記載内容を確認しておかないと、いざ買い戻そうとしても貸主側が応じないケースもあります。

また、リースバックの買い戻しは売値より高くなるものの、あまりに高額の費用を提示され、買い戻しができないケースもあります。大切なマイホームを買い戻したい、と考えている場合は再売買の条件を契約書内に記載することが大切です。

リースバックの他のトラブルはこちらの記事で詳しく解説していますので、参考にぜひご覧ください。
「リースバック~トラブル事例と回避するためのポイント解説~」

まとめ

リースバックする際には、売買契約書と賃貸借契約書の2つの契約を結ぶ必要があります。
口頭で確認したことも含めて、全ての条件が契約書内に記載されているか必ず確認してください。契約内容をきちんと確認することが、後々のトラブルを防ぐことに繋がりますので、契約内容に疑問を残さないようにしましょう。

リースバックは任意売却時にも活用できる不動産売買の手法の1つです。ただし、任意売却時には、金融機関や保証会社への交渉や債務整理も視野に入れる必要があります。そこで、リースバックや任意売却は、解決実績豊富な弁護士へのご相談がおすすめです。まずはお気軽に、弁護士法人リーガル東京にご相談ください。

 

監修者


氏名(資格)
小林 幸与(税理士・弁護士)

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