リースバックを相続対策に活用する|メリット・注意点等を解説
現金や預貯金は分割できるため、複数の相続人で分け合うことができます。しかし不動産はモノであるため、複数人で分け合うことが難しい事が多いです。そのため不動産の相続はしばしば、争いのもとになることも。
そこでこの記事では、不動産の相続を簡単にする方法の一つである「リースバック」について紹介します。リースバックのメリットや、注意点も合わせて紹介しますので、ぜひご一読ください。
不動産を相続させる際の問題点
不動産は相続財産に含まれます。そのため遺言書が無い場合は、誰が相続をするのか慎重に決める必要があります。では不動産を相続させる際には、どのような注意点があるのでしょうか。
不動産はそのまま均等に分けることができない事が多い
不動産はそのままの状態では、均等に分割することができない事が多いです。そこで1つの不動産を複数人で相続する場合、複数人が所有者となる「共有」をすることが認められています。
しかし「共有状態」にある不動産は、次世代の相続にも大きなトラブルとなることがあります。
まず共有者が亡くなると、共有者の子などへさらに相続されてしまいます。その場合、多数の共有者が発生することがあります。長期に渡り不動産の相続を放置していると大量の共有者が発生しているケースも多いのです。
相続税の納税資金が不足する
不動産は相続財産であるため、相続税の計算にも含める必要があります。数十年前に取得した土地であっても、土地の評価額は上昇傾向にありますので、古くなった建物があっても、高額な相続税が発生することもあります。
たとえば、父の遺したマイホーム(土地及び建物)の相続税評価が8,000万円であり、かつ子1人で相続する場合は、以下のように相続税の計算をします。
(ただし、小規模宅地等の特例が適用できない場合です。)
■相続税の計算
遺産額8,000万円-基礎控除額(3,000万円+600万円×1人)=4,400万円
4,400万円×税率20%-控除額200万円=680万円
(引用:「国税庁No.4155 相続税の税率」)
このケースでは子1名が相続人であるため、配偶者控除はありません。そのためこの不動産を相続するためには、現金680万円という大きな金額を用意する必要があります。
不動産相続の問題点を解決できるリースバック
不動産の相続では、高額の相続税に翻弄される方も多いでしょう。そんな時、リースバックを活用する方もいらっしゃいます。
では、なぜリースバックは不動産相続に有効なのでしょうか。
現金化することで均等に分配できる
リースバックとは「自宅を売却した後、賃貸物件にして住み続ける手法」のことを指します。
リースバックの手続きの中で自宅を一度売却するため、不動産をお金に換えることができます。そのため分割しづらかった不動産を、相続人の間で分割することが可能になるのです。
相続税の納税資金に困らない
リースバックを用いると、自宅の売却によりまとまった資金が手に入ります。そのため、不足しがちな相続税の納付にも対応できます。また、高い評価額の不動産を売却し現金化することで、相続税を圧縮する効果もあります。
リースバックのメリット
相続対策以外にも、リースバックには様々なメリットがあります。この章では、リースバックのメリットについて詳しく解説します。
売却後も住み続けられる
リースバックを用いると、所有していた自宅を賃貸物件にできます。そのため、家賃を払うことで引き続き住むことが可能です。また普通借家契約なら、期間が更新されていくため長く暮らすことも可能です。そのため、子育て中や介護中の方の負担を軽減させることができます。
固定資産税や火災保険料の支払いが不要になる
持ち家の維持のためには、固定資産税や火災保険料など、様々な支出が生まれます。
しかしリースバックをして賃貸契約を結んだ後は、こうした費用の支払いは不要です。持ち家の所有者が移転するため、大掛かりなリフォーム費用を負担する必要もありません。
老後の生活資金に充てられる
リースバックを用いれば、大きな資金を手元に残すことができます。そのためリースバックで得たお金を、老後の生活資金に活かす方もいらっしゃいます。
相続人がいない場合、リースバックで老後の穏やかな生活を送ることも検討すると良いでしょう。
相続対策にリースバックを活用する注意点 ・リースバックするタイミング
相続対策にリースバックを活用する場合には、どのような注意点があるでしょうか。この章ではリースバックの注意点やタイミングについて解説します。
生前贈与は計画的に行う
不動産は高額であるため、相続する際は大きな相続税がかかる可能性があります。そこで相続対策として、「生前贈与」をすることも検討しておきましょう。
ただし2024年から、相続税の対象となる期間が相続開始前の過去7年までとなりました。つまり生前贈与による相続対策は、亡くなる間際になってから始めても遅いのです。
できるだけ早期に生前贈与の検討を始めましょう。
親族に相談してからリースバックする
リースバックを行った場合、家の所有権を失うことになります。
「思い入れのある住まいを、売却してほしくない」と考える親族の方もいらっしゃるため、きちんと親族の間で話し合いましょう。
中には、「リースバック後に、物件を買い戻せばいい。そうすれば所有権は戻る。」と考える方もいらっしゃるかもしれません。確かにその通りですが、買い戻す前に借主が死亡した場合、相続人は住宅を相続できなくなります。
「家がもらえるはずだったのに」という親族同士のトラブルを防ぐためにも、親族の間で相談をし、納得してもらった上でリースバックを行いましょう。
まとめ
この記事では、相続対策の視点からリースバックについて詳しく解説をしました。
リースバックは住まいをお金に換えることができるため、相続対策の一環としても行うことができます。
もっとも相続税の納付資金を貸してもらえる金融機関が無いわけではありませんので、安定収入がある方は、最寄りの金融機関に相談することも一方法です。
「相続税の用意が難しい」、「引っ越しをしたくない」などの事情をお持ちの方は、リースバックを用いて相続対策を行いましょう。
リースバックをご検討中の方は、ぜひ実績豊富な弁護士法人リーガル東京にご相談ください。
監修者
氏名(資格)
小林 幸与(税理士・弁護士)
-コメント-
弁護士法人リーガル東京は弁護士・税理士などの専門家集団です。当法律事務所に相談依頼するだけで、購入先紹介・売買契約締結交渉・残債務整理・登記手続・税務申告のワンストップサービスを比較的低額の料金でご提供致します。
この記事を見ている人はこんな記事も見ています
最近の投稿