任意売却の流れと期間|注意すべき期限も解説
住宅ローンの返済に困り任意売却を検討する場合、競売に発展させないためにも、早期に売却手続きに着手することが大切です。では、任意売却はどのような流れで行われ、どの程度の期間で売却が完了するのでしょうか。
任意売却は裁判所を介する手続きではないものの、債権者である金融機関や保証会社への交渉を経て許可をもらう必要があります。そして、物件を購入してくれる方を見つけなければ売買が成立できません。
そこで、この記事では「任意売却の流れと期間」をテーマに、手続き全般に関して分かりやすく解説します。注意すべき期限についてもあわせて解説しますので、現在任意売却をご検討の方はぜひご一読ください。
任意売却の流れ・期間
任意売却を進める場合、どのような流れで行われ、どの程度の期間が必要でしょうか。
7つのステップに分けて詳しく解説します。
1.金融機関や保証会社からの督促
住宅ローンの滞納開始1~2ヶ月後には、金融機関や保証会社から督促が開始されます。自宅にハガキが届いたり、電話で返済状況について確認されたりすることが一般的です。督促の段階ではまだ法的な拘束力はなく、すぐに競売が開始されるわけではありません。
2.弁護士などの専門家へ相談
金融機関や保証会社からの督促が始まっても、返済のめどがつかない場合には早急に弁護士などの専門家へ相談しましょう。
任意売却については不動産会社も相談に対応していますが、弁護士の場合は住宅ローン以外の債務についても踏まえて、適切なアドバイスが可能です。もしも任意売却を決断する場合、金融機関や保証会社への交渉や債務整理手続きに関してもまとめて依頼できます。
3.現状の把握
弁護士などの専門家に相談する際は、まずはご自身の「現状の把握」をしっかりと行うことが重要です。住宅ローンの返済に困っている方は以下に挙げるとおり、その他の悩みも抱えているケースがあるためです。
■よくある悩み
・住宅ローン以外の債務(奨学金や消費者金融などからの借入など)
・勤務先の倒産や急激な収入の減少
・債務者本人やご家族のご病気
・税金の滞納
・離婚
住宅ローンが返済できなくなった背景には、上記のような別の悩みが関連している場合があります。任意売却を進める場合には、こうした事情も同時に解決できるように現状を把握し、整理していきましょう。
また、現在住宅ローンの残債がいくらあり、物件を売却するならいくらで売れそうなのかも、あわせて調べる必要があります。不動産の査定を早急に依頼し、売却予想額を調べましょう。
弁護士法人リーガル東京では、提携不動産会社を併設していますので、ご相談時に不動産の価格査定を無料で行っています。
4.債権者との交渉
任意売却は、物件の所有者が独断で売却することはできません。住宅ローンの借入先である金融機関や保証会社など(債権者)の許可を得る必要があります。
銀行など金融機関や保証会社にとっては、任意売却後の残債あるいは競売代金で完済できないのは何よりのリスクなので、債権回収業者(サービサー)に委託をするケースが多くなっています。
売却後にも大きな金額の残債があるケースでは、金融機関や保証会社が同意をしない可能性があるため、交渉力のある弁護士が対応することが望ましいでしょう。
5.任意売却の開始
債権者の同意が得られたら、速やかに任意売却を開始します。売却手続きを行う不動産会社と契約し、販促活動を行います。
住みながら売却を目指すことが多く、内覧にもスムーズに対応する必要があります。競売を避けるためには、売買契約を早く成立させる必要があります。
6.売買契約締結
買主が見つかったら、債権者に向けて売買代金の配分案を示して事前同意を得ます。
一般的な不動産売買とは異なり、債権者の同意なくして売買手続きを進められません。債権者の同意があれば売買契約締結となります。
7.不動産の引き渡し・引っ越し
売買契約が完了したら、住んでいた債務者は引っ越しをする必要があります。競売とは異なり、任意売却では引き渡し日などの希望を伝えることができます。
決済完了後には金融機関や保証会社に返済を行いますが、残債が残るケース(オーバーローン)もあるでしょう。オーバーローンの場合、今後どのように返済を続けていくか相談を行います。
一括返済を求められた場合、弁護士に相談し、債務整理の手続きを依頼されることをおすすめいたします。
■リースバックも選択肢に
任意売却は住まいを失うイメージがありますが、引き続き同じ物件に住み続ける「リースバック」という方法もあります。第三者に物件は売却しますが、売主側が賃料を支払って引き続き住み続けることができます。この方法なら、転勤や転校も避けることができ、周囲に任意売却を行った旨を知られるリスクも低くなります。
リースバックについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
「リースバックとは何?わかりやすく仕組み・メリット・デメリットを解説」
任意売却に関する期限
任意売却には以下のとおり期限が存在します。
債権者が競売の手続きを保留するのは通常半年程度
任意売却が成立するまで、債権者がいつまでも待ってくれるわけではありません。多くのケースでは約半年間という期限が設定され、その期限内であれば競売の手続きを進めないで待っておくという処置が取られます。
債権者側からすると、競売に出せば早く物件の売却が決まり、確実に債務を回収できるようになるため、長い期間待つというメリットが無いのです。とは言っても、任意売却が成立すれば競売よりも多くの金額を回収できるというメリットがありますので、期限を決めた処置ということになります。
任意売却の期限は「競売の開札日前日」
債権者が競売の手続きを進めたら、その時点で任意売却できなくなるわけではありません。
任意売却の期限は「競売の開札日前日」です。競売の申立てから開札は約3〜6カ月程度の期間を要しますが、この期間も任意売却は可能です。
任意売却後に残債がある場合
任意売却が完了し、物件の売却益で残債が完済できれば金融機関や保証会社側との交渉は不要になります。しかし、残債が残っている場合は返済義務が継続するため、ローンの返済を続けていく必要があります。
住宅ローンの返済に行き詰まり、任意売却を行った方はその他の債務も抱えているケースが多く、今までと同様の金額で返済を続けることは難しいでしょう。
では、残債にはどのように対処すれば良いでしょうか。
任意売却後の住宅ローンの残債は圧縮(減額)を考えている場合は債務整理となり、生活を再建するためにも、弁護士に相談することをお勧めいたします。
任意売却後の残債については、こちらの記事で詳しく解説しています。
「任意売却後の残債が払えない場合どうなる?返済方法や対処法を解説」
任意売却の注意点
競売よりも物件が高く売れる任意売却は、残債の金額を減らすことができます。しかし、任意売却には知っておきたい注意点もあります。以下2点をご確認ください。
1.期限の利益の喪失が必要
任意売却は一般的な不動産売却とは異なり、住宅ローンの滞納により期限の利益の喪失をし、ローンの一括返済を求められた状態が発生している場合にできる手続きです。
現在返済ができている状態なら、任意売却ではなく返済猶予や減額について金融機関や保証会社に交渉することがおすすめです。
金融機関や保証会社によっては新型コロナウィルスなどの事情に考慮し、救済措置を設けているケースもあります。
しかし、交渉が難航し、滞納に至った場合には競売を防ぐためにも早期に任意売却について弁護士への相談を始めましょう。
2.売買できる期限がある
住宅ローンの滞納の初期は、督促状が届くなどの対応に留まります。しかし、滞納が半年程度に迫ると催告書が届き、代位弁済が行われてしまいます(期限の利益の喪失)。
その後は競売開始に移行していくため、任意売却が難航してしまいます。任意売却はすでに解説のとおり、金融機関や保証会社への交渉や売却への販促活動などにも時間を要します。競売までの短い期限の中で、さまざまな手続きを確実に進めていく必要があります。滞納が始まり、返済のめどがつかない場合には、すぐに専門家に相談を開始しましょう。
まとめ
任意売却には期限が設けられており、過ぎてしまうと競売手続きが進んでしまいます。通常の不動産売買でも半年間程度の期間が必要ですので、早めに行動することが大切です。
自己破産をできるだけ回避し、生活再建を目指すためにも、住宅ローンに悩んだら早めに任意売却の実績が豊富な弁護士にご相談ください。
弁護士法人リーガル東京では、任意売却手続きをスムーズに進めるために不動産会社と連携しており、多数の解決実績があります。どうぞお気軽にご相談ください。
監修者
氏名(資格)
小林 幸与(税理士・弁護士)
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