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コラム

住宅ローンが払えない時の対処法

住宅ローンの滞納者の増加

金利低迷が続く中、新規で住宅ローンを契約しようと思う方が増えています。また消費税の増税を控え、各種自治体が住宅ローン減税やすまい給付金などの補助制度を打ち出してからはさらに加速度的な増加が予想されています。

中古住宅のリノベーションブームなども相まって、今では理想のライフスタイルを実現する手段として若い夫婦などを中心に住宅ローンの契約は伸びていますが、危険なリスクを背負っているとも見れます。

リーマン・ショック時のアメリカのように極端な事にはならないと予想されていますが、人口比や収入にそぐわない新規住宅着工数のじわじわとした増加と、若年層の新規住宅ローンの契約数の増加という点で同じです。住宅の着工数が伸びるということは、家財道具や建築材などトータルでの消費が大幅に刺激されるので国の景気という面では非常にメリットの大きなことです。
しかし、収入の伸びが予測出来ない若い消費者が、楽観的な目測で加入しているのならば問題は深刻なものです。

実際、リーマン・ショックや東日本大震災・新型コロナウィルスなどの景気低迷をきっかけに住宅ローンの滞納者数も増えており、経済的な事情により、住宅ローンを払えなくなると最悪の場合では住んでいる家を手放さなければなりません。

実際今現在滞納などされている方は金融機関から連絡や警告などを受けられているかもしれません。

住宅ローンを3ヶ月以上滞納してしまうと

金融機関が強制的に差し押さえし、裁判所での競売などが考えられますが、金融機関との話し合いによっては「任意売却」と呼ばれる手法で物件を売りに出せる可能性があります。

競売では相場よりもかなり割安な価格での売買になるので、住宅ローン残高だけが残り再出発とは程遠い状況に陥ることが少なくありません。そこで一般の不動産市場より高く売れることが多い任意売却という処分の方法があります。

住宅ローンの督促状が届いた時の対処法

住宅ローンを貸し付けている債務者である銀行などの金融機関は自宅の所有者が住宅ローンを支払う事が出来なくなり、支払いが滞った時に債務者である自宅の所有者に連絡を行います。
銀行が債務者に対して行う連絡方法には幾つかの種類があり、まず最初に行われるのが督促状の送付となります。

この督促状が自宅に届くと、多くの方はパニックまたは狼狽してしまう事が多いです。

しかし、住宅ローンの督促状が届いても落ち着いて事態を把握し、法律の専門家である弁護士などに相談して今後の展開について弁護士に尋ねてみる事をおすすめします。

法律の専門家である弁護士が相談相手として存在してくれているだけでも心の落ち着きを得られる事もあります。
住宅ローンの支払いが出来ず督促状が届いた場合でも慌てずにまずは弁護士に相談をしてみましょう。

■住宅ローンの督促状が届いた時に取る行動とは

住宅ローンの督促状が自宅に届いた場合には、督促状にしたがって速やかに銀行との話し合いを持って下さい。
場合によっては銀行側が貴方にとって有利なアドバイスや便宜を払ってくれる事もあります。

住宅ローンの督促状が自宅に届いた時に一番してはいけない事は、督促状を破棄するまたは督促状に従わず無視してしまう事です。

住宅ローンは自宅が抵当権として担保を付けて取られている場合も多く、住宅ローンの督促状を無視する事は自宅をむざむざ手放す事につながってしまいますので絶対に督促状の破棄や督促状を無視して従わない、といった行動をとってはいけません。

督促状を破棄して放置したり、督促状を無視し続けた場合には最悪の場合銀行側から訴訟を起こされたり何も分からないまま自宅が差し押さえられるなどの被害をこうむるケースもあります。

■督促状を放置した後の流れについて

住宅ローンが支払えなくなり銀行から督促状が届いてもまったく督促状に目を通さずに無視して放置してしまう人が少なくありません。

ではこのまま銀行からの督促状を無視し続け自宅に住み続ける事は出来るのでしょうか。

答えは、「弁護士に相談して個人再生や任意売却を行うなどの対策を講じなければ、自宅に住み続ける事は不可能」です。

銀行から督促状が届いて弁護士にも相談せずに任意売却などの手段も取らず何も対策を講じなければ一般的に6ヶ月以内には自宅は強制的に競売にかけられてしまいます。
競売には強制力がありますので無視する事は出来ません。

■任意売却で自宅に住み続ける

住宅ローンが支払えない場合に銀行から督促状が届いた後でも自宅に住み続ける方法はあります。

それは、「リースバック」という方法を使って自宅にそのまま住み続ける方法です。

「リースバック」は住宅ローンが支払えなくなった自宅の所有者が第三者である親族や投資家に弁護士などの専門家を仲介者として自宅を売却し、自宅を新たな所有者である第三者から貸し付けてもらう、つまり「自宅を第三者に借り受けてもらって、その自宅を自分に貸し付けてもらう」事で自宅に住み続ける事が出来ます。
この方法は「任意売却」における「リースバック」という方法となります。

「リースバック」は住宅ローンが支払えなくなった後でも自宅に住み続ける事が出来る方法ですが、あくまでも一時的な措置となるので、「任意売却」である「リースバック」を行ってから数年以内には再び自宅を再度自分で購入しなくてはいけません。
自宅が数年以内に再購入出来ない場合には自宅は弁護士などの仲介者を新たな自宅の所有者である第三者との間に置いて話し合いを第三者と行い、売却する流れとなります。

リースバックとは!?メリットとデメリットをご紹介!

■督促状が届いたらまずは弁護士に相談

以上のように督促状が銀行から届いた時には慌てずにまずは法律の専門家である弁護士に相談してみる事をおすすめします。
「任意売却」も「リースバック」も一般の人には難解な専門的な知識が必要となる手続でもありますので、自分一人で問題を解決しようとせず、とりあえず弁護士に相談をしてみましょう。

任意売却とは

任意売却とは文字通り、「任意の契約によって市場を介した自由な取り引きで物件を売却すること」を意味します。
物件を売りに出すという行為は、もちろん物件に対しての権利を有している必要があります。しかし、住宅ローンの場合は銀行などの金融機関によって抵当権が設定されていることが普通です。この抵当権がある内は物件を勝手に売りに出すことは出来ないのですが、先に挙げたように金融機関の同意があればローンを完済する前でも市場で物件を売りに出すことが出来ます。
相場価格での販売が可能なので、場合によれば住宅ローンの完済だけでなく再出発の準備資金も調達する事が可能なので、ほとんどの方は住宅ローンの滞納で家を手放すことを余儀なくされた際、こうした任意売却を望みます。
しかし、金融機関としてもリスクのある債権を出来るだけ早く現金化したいので、住宅ローン契約者と金融機関の利害は対立します。多くの場合では半年ほどの猶予期間を設けてくれるケースがほとんどですが、物件など高価なモノの売買ではそれでも少なすぎるほどの時間になります。
任意売却はあくまで不動産会社を経由して行うものですが、弁護士に相談が相次いでいる理由は何なのでしょうか。弁護士は当然法律の専門家なので、不動産売却に関するプロフェッショナルな知識を持っている訳ではありません。
任意売却に際して弁護士に依頼する方の目的としては「住宅ローン以外の借入金も整理したい」「場合によっては自己破産もやむないと思っている」「相続などの税務上のトラブルも抱えている」などと言った例が考えられます。
そうした悩みに加え任意売却で不動産会社や購入者と交渉を行うのは、かなりの心労となるので、最終的なコストパフォーマンスが見合うものならば弁護士に依頼するのも悪い選択ではありません。
しかし、こうした任意売却を含むケースで弁護に依頼する際にはいくつか注意が必要です。先ほど述べたように弁護士はあくまで法律の専門家なので、得意なジャンルとそうでないジャンルが存在します。
個人事務所の場合などには任意売却に関わる債務整理や相続問題の相談実績をしっかり確認した上で行わなければ、余計なトラブルを抱えてしまうことになります。

住宅ローン以外に複数の借入がある場合の任意売却

任意売却で高く売れた分、残債務の圧縮につながりやすいです。しかし問題なのが住宅ローン以外に複数の借入がある場合です。

住宅ローンの残債を圧縮できても、その他の借入が多すぎるとその後の返済に行き詰ってしまいます。
とても自力で返済するのが困難な場合は債務整理するしかないです。

債務整理には任意整理や個人再生、自己破産などの手続きがあります。自己破産は換価できる財産を持っている場合は管財事件(少額管財事件)へ、財産を持っていない場合は同時廃止へと流れます。

管財事件(少額管財事件)になると申立てから手続終了まで半年から1年以上の期間がかかりますが、同時廃止なら約3ヶ月から6ヶ月ほどの期間で終わります。

任意売却後に自己破産することで同時廃止へと進ませ、自己破産終了までの期間を短くすることが出来ます。
管財事件では最低50万円、少額管財事件では最低20万円の予納金がかかりますが、同時廃止なら申立実長で1万円から3万円で済ませられます。

任意売却後に自己破産する場合の注意点

住宅ローン以外の複数の借入があり、任意売却後に自己破産する場合は注意が必要です。

それは自己破産は売却物件の抵当債権者に支払っているので免責不許可事由に該当すると認められないことがあるからです。

免責不許可事由には様々な項目がありますが、自己破産を裁判所に申し立てする前に特定の債権者だけに返済を行うとこの免責不許可事由に該当してしまいます。

お世話になった方だけは迷惑をかけたくないので返済してから自己破産しようとしても認められないことがあるので注意が必要です。
自己破産を裁判所に申し立てした後に、複数の債権者に平等に返済すれば免責不許可事由には該当しないです。
任意売却じたいが特定の債権者だけに返済を行っているのではと思われるでしょうが、任意売却は免責不許可事由には該当しないので大丈夫です。

住宅ローン以外の複数の借入の原因がギャンブルや浪費といった場合は免責不許可事由に該当してしまいます。

しかしその判断は裁判官に委ねられており、裁判官によっては裁量で免責許可を下しているケースがあります。
それには反省と更生の意欲を裁判官に示さないといけないですが、必ず免責不許可事由に該当しているからと言って自己破産が出来ないことは無いのです。

諦めずに専門家である弁護士に自己破産免責が出来るかどうか相談してみると良いです。

住宅ローン以外の複数の借入がある場合で、住宅ローンの返済だけなら何とか返済していける場合は、任意売却するより個人再生されたほうがメリットが大きいです。
任意売却では結局マイホームは売却することになりますが、個人再生ならマイホームに住みながら債務整理が出来ます。
個人再生では債務総額に応じて最低弁済額が変わります。
小規模個人再生の場合、最低弁済額は500万円以上1500万円未満なら5分の1、1500万円以上3000万円未満なら300万円、3000万円以上5000万円以下なら10分の1です。

複数の借入の返済が大幅に楽になる上に、住宅ローンの返済はそのまま続ければマイホームは差し押さえされることは無いです。
住宅ローンを除く5000万円以上の債務総額では個人再生が出来ないですが、住宅ローン以外で5000万円も債務を抱えることはあまり少ないと思われます。
減額された債務を3年で、特別な事情がある場合は5年で分割返済し、それが終了したら複数の借入はすべて返済完了です。

その代わりに返済を続けるための安定収入が見込めないと個人再生が出来ず、リストラで収入が途絶えてしまった場合は個人再生は難しいです。

最初から任意売却をするとマイホームは失ってしまいますので、複数の借入を債務整理することでやっていけるかどうか確認する、その後にダメだと判断されたら任意売却でマイホームを処分されると良いです。

監修者


氏名(資格)
小林 幸与(税理士・弁護士)

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