リースバックで何年住めるのか?|契約時の注意点・長く住む方法等を解説
収入の減少や病気などを理由に住宅ローンの返済に困ったら、解決方法の1つとして任意売却が検討できます。任意売却とは、住宅ローンの残債がある住まいを不動産市場で売却することです。そして、任意売却の中には「リースバック」と呼ばれる方法があります。
リースバックとは第三者に住まいを売却した後に、同物件を賃貸化してもらい、引き続き住み続けることができる方法です。では、リースバック後は引き続き「何年住める」のでしょうか。この記事ではリースバックの手続き後について、長く住む方法等を中心に詳しく解説します。
リースバックをした場合、何年住めるのか
リースバックは、売却後に住まいを引き続き賃貸化できるため、そのまま他の物件へ引っ越しをせずに住み続けられます。しかし、住み続けられる賃貸期間には「期限」があります。
なぜなら、リースバックは所有不動産を処分することを前提に行われる手続きだからです。賃貸期間は一般的に「2~3年」と言われており、買い戻しを希望する場合、その間に買い戻すための資金を用意する必要があります。
なお、あくまでもこの期間は目安であり、交渉次第では長く設定できる可能性はあります。
リーガル東京では、売主様のご希望を最大限考慮し、これまで5~10年の賃貸期間にできた事例があります。期間が長ければ買戻しできる可能性が増えるでしょう。
なぜリースバックで住める期間は数年なのか
リースバックは売却した後も引き続き同物件に住めるだけではなく、賃貸化してもらう契約によって、固定資産税などの税金もなくなるというメリットがあります。
しかし、住み続けられる期限は無期限ではない、というデメリットもあります。なぜリースバックで住める期間は、2~3年程度が一般的なのでしょうか。その理由は以下のとおりです。
理由1 早期に売却した方が高く売れるため
不動産は一般的に、年々価値が下がっていくものです。任意売却物件の買主である不動産会社や投資家としては、できるだけ価値が高い間に売却をしたいと考えています。そのため賃貸契約に当初から数年程度の制限を設け、買い戻すことを求めるのです。
理由2 家賃の滞納リスクを回避するため
任意売却を検討し、リースバックに至っている以上、借主は「お金に困っていた方」であるという事実があります。そのため、家賃を滞納されてしまうリスクも高いと考えられます。
居住できる期限を短期間に設定しておけば、家賃を滞納されたとしても損害額は少額で済みます。
リースバックをする際の契約方法
通常の任意売却は住まいを売却したら手続きが完了しますが、リースバックをする際には賃貸化するために、貸主と借主との間で別の契約が必要です。
この章では、リースバックをする際の賃貸契約の方法について詳しく解説します。
方法1 普通借家契約(普通賃貸借契約)
リースバックの契約方法には、「普通借家契約」と呼ばれる方法があります。普通借家契約とは、通常の賃貸物件の契約においては一般的な契約方法で、「更新可能」な賃貸借契約です。借主としては、住み慣れた住まいに長く暮らしたいと考えるため、更新できると安心でしょう。
また、普通借家契約では貸主側が一方的に更新を拒絶する(借主側に退去を求める)ことはできません。更新を拒絶する正当な事由が必要となり、それに見合った立ち退き料の支払いも必要です。つまり、借主側に有利な条件の契約なのです。
方法2 定期借家契約(定期賃貸借契約)
定期借家契約とは、普通借家契約とは異なり「更新がない」賃貸借契約です。契約期間満了後も住み続けたいと思っても、貸主側が拒否すれば再契約はできません。そうなれば、必ず退去しなくてはいけません。
リースバックにおける賃貸契約では、この定期借家契約の方が多くなっています。普通借家契約と比較すると、借主側に不利な条件の契約と言えますが、再契約可能な約定を付ければ不利益は解消されます。
リースバックの契約が終了したら、どうなるのか
リースバックは売却後に普通借家契約もしくは定期借家契約を交わして、賃貸化した旧持ち家に引き続き住めますが、契約が終了した場合はどうなるのでしょうか。詳しくは以下のとおりです。
1 退去する
賃貸借契約の契約期間が満了し、更新や再契約ができなければ、借主として住むことができなくなるため、退去する必要があります。
リースバックの場合、賃貸借契約の終了時に住まいを買い戻すことも考えられますが、資金が用意できないなどの理由で買い戻せない場合は、退去しなくてはいけません。
2 契約期間の延長・再契約
賃貸借契約の終了時には、貸主側と交渉を行い、契約期間の延長が認められる場合があります。
普通借家契約であれば、大きなトラブルなどが無ければ一般的に法定更新と言い、自動的に更新が行われます。
定期借家契約の場合、貸主と再度契約を交わす必要があります。
3 買戻しを行う
契約終了時に住まいを買い戻す資金が用意できているなら、そのタイミングで買い戻しを行うことも可能です。一度失った所有権も再び手に入ります。確実に自宅を買い戻したい場合は買い戻し条件付きの売買契約をお勧めします。
リースバックをする際の注意点
任意売却であっても継続して住み続けられるリースバックは、周囲に住宅ローンの返済が困難な状況などを知られにくいため、大きなメリットがあります。
では、リースバックをする際には、どのような注意点があるでしょうか。2つ解説します。
注意点1 契約内容をきちんと確認する
先に触れたとおり、リースバックの契約をする際には、2つの契約方法があります。特に定期借家契約の場合は、以下のようなトラブルの可能性があるため、提示されている契約内容をきちんと理解した上で契約に臨みましょう。
・再契約可能と聞いていたが、再契約してくれない
・再契約時に家賃が高くなった
・再契約後の契約期間を極端に短くされる
■普通借家契約でも注意が必要
借主側に有利に思える普通借家契約ですが、契約更新時に家賃が高額化することもあります。普通借家契約だからと確認を怠らないように注意しましょう。
注意点2 家賃は支払いが継続できる金額か確認する
住宅ローンの支払いから解放されるリースバックですが、賃貸契約をする以上は家賃を支払う必要があります。無理のある家賃金額で契約してしまったら、支払いが滞るおそれがあります。
そうなれば、せっかく継続して住めることになった自宅から退去せざるを得なくなり、リースバックの意味がなくなってしまいます。
リースバックの注意点はトラブル事例とともに、こちらで詳しく解説しています。
「リースバック~トラブル事例と回避するためのポイント解説~」
リースバックでできる限り長く住む方法
住み慣れた家に引き続き住めるなら、できる限り長く住みたいと考える方も多いでしょう。
では、長く住むためにはどのような方法が考えられるでしょうか。
方法1 普通借家契約にする
賃貸契約を結ぶ場合、普通借家契約を選ぶと良いでしょう。貸主側の意志で再契約できるかどうかが決まる定期借家契約よりも、長期間住めることが期待できます。
方法2 定期借家契約の場合は条件を交渉する
普通借家契約が難しく、定期借家契約を結ぶ場合には、できる限り有利になるように交渉しましょう。ポイントは以下2点です。
・契約期間を長くする
・再契約できる契約にする
できる限り長い契約期間になるように交渉しましょう。契約期間を長くできない場合は、再契約ができる契約内容にすることが大切です。再契約が望めれば、定期借家契約であっても長く住める可能性が高くなります。
方法3 買い戻す
リースバックの本質が買い戻しにある以上、今後も長く住み慣れた家で暮らすためには、買い戻すことを念頭に置きましょう。賃貸契約に期限がある中で、家賃の支払いと並行して、買い戻すための資金を用意することは容易ではありません。しかし、大切な家を守りたいと考える場合には、買い戻せるチャンスを逃さないように準備をしましょう。
また、ご自身で買い戻すことはできなくても、家族や親族に資金を用意してもらったり、住宅ローンを組んでもらったりする方法もありますので、併せて検討すると良いでしょう。
まとめ
この記事では、リースバックで住める期限にスポットを当てて、詳しく解説を行いました。賃貸契約の種類や、契約を結ぶ際の注意点も解説しましたが、実際にリースバックをご検討される場合には、任意売却やリースバックに詳しい弁護士にご相談の上でご決断された方が良いでしょう。
リースバック業者の中には売主にとって好ましくない条件を提示したり、後日約束を違える業者があります。信用できるリースバック業者を慎重に選ぶことをお勧めします。
弁護士法人リーガル東京は不動産に関するご相談に強く、任意売却やリースバックについて豊富な実績があります。まずはお気軽にご相談ください。
監修者
氏名(資格)
小林 幸与(税理士・弁護士)
-コメント-
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